
キャンプと言えば焚火を思い起こす方も多いのではないでしょうか。
「焚火を囲み、揺らいだ炎を見つめながらお酒を酌み交わす」そんなシーンを思い描いている方も多いはずです。
しかし、いざ始めてみると「なかなか火がつかない」「煙ばかり出る」「消し方が分からない」と悩む初心者も多いはずです。
この記事では、焚火の基本的なやり方から、失敗しない着火のコツ、そして絶対に避けたいNG行動までを分かりやすく解説します。
安全に、そして気持ちよく焚火を楽しむために、知っておくべきポイントをしっかり押さえ、思い出に残る夜をお過ごしください。
焚火の魅力
キャンプの夜に焚火の前に座り、揺らめく炎を見つめているだけで、不思議と心が落ち着きます。
しかし、そんな焚火こそキャンパーの品格が最も表れる時間でもあります。
ただ火を起こし、炎を見つめているだけでなく、自然に配慮した焚火を心得る事こそが基本ですし、焚火本来の魅力を楽しめるということです。

焚火を楽しむためのキャンプギア
焚火を始めるには、先ずは最低限のギアを揃える必要があります。
焚火台
現在は、ほとんどのキャンプ場で直火が禁止されていますので、火を受ける(乗せる)ための焚火台を使用し、自然環境へのダメージを防ぐことが基本です。
焚火台を使う事により、燃え移りや風による火の粉の飛散を減らすことが出来ますし、灰をまとめて捨てやすいなど、撤収も楽になります。
【焚火台を選ぶ際のポイント】
●地面との距離が長いほど環境への負荷が少ない。
●持ち運びやすさ。
●耐久性に優れるステンレスやチタンがおすすめ。
●焚火調理を行うか否か。
●片付けのしやすさ。
【焚火台の種類】
●折り畳み式
軽量でコンパクトに持運びが可能。
ソロや少人数向き。
●四角や円形のフレームタイプ
安定性に優れ、薪もたっぷり入れられる。
ファミリーやグループ向き。
●メッシュタイプ
燃焼効率に優れるが、灰や火の粉が飛びやすい。
●焚火調理タイプ
ゴトクや網が付属し、料理にも使いやすい。

焚火シート(耐火シート)
焚火シートとは、焚火台の下に敷く耐熱性のシートのことで、焚火から落ちる火の粉や熱を遮断し、地面や芝生を焦がさないための保護マットです。
現在のキャンプ場では「直火禁止」だけでなく、「焚火台の下にシート必須」としている所も多くなっています。
焚火シートを選ぶ上で重要なのは、焚火台より大きいサイズのものを選ぶという事で、それにより火がこぼれても芝生などへのダメージを防ぐことが出来ます。
ライター(マッチ)
ライターやマッチは、着火剤などに火を着けるために使います。
火打石(ファイヤースターター)等を使って、着火剤に火を着ける方法もありますが、焚火初心者の方は、確実に火を着けることが出来るライターなどを使う事をおすすめします。
着火剤
着火剤とは、火起こしを簡単・確実にするための補助燃料のことです。
マッチやライターの火だけでは燃えにくい薪や炭に、安定した炎を一定時間供給して、スムーズな着火を助けます。
ベテランの方は、フェザースティックなどを使って火を大きくしていきますが、初心者の方には難しいので、先ずは着火剤を使って確実に火を育てていく事をおすすめします。
着火剤には、固形タイプやジェルタイプなどがありますが、固形タイプのものが使いやすと思います。
火吹き棒
火吹き棒とは、焚火や炭火にピンポイントで空気(酸素)を送り込むための細い筒状の道具です。
息を吹きかけることで、弱火の炭や薪を再燃させたり、火力を上げたりすることができます。
つまり、火吹き棒は「焚火の酸素コントローラー」という役割で、火を操る感覚が楽しいギアでもあります。

もっぱら自宅で焼肉やBBQをやる際の、火起こしに使っています。
収納すると20cm程度、伸ばして火吹き棒として使う際は、約80cm程度になります。
間違って吸い込むと、口内を火傷しますので、十分に注意して下さい。
薪
焚火に使用する薪には、着火しやすい針葉樹と、火持ちの良い広葉樹がありますので、それらを上手く使い分ける事が重要です。
また、事前に準備して持って行ってもいいですが、キャンプ場で販売している場合もありますので、事前に確認しておく事をおすすめします。

焚火の準備
それでは焚火の準備に入ります。
天候の確認
焚火の準備を始める前に、先ずは天気を確認する必要があります。
キャンプ前日にも確認しているはずですが、山間部や海沿いなどにあるキャンプ場は、天候が変わりやすいため、常にチェックしておく必要があります。
風の強弱はもちろん、風向きの確認も必要です。
風が強まる予報の際は、焚火を中止する事はもちろん、風が弱い場合でも、風向きによっては他のキャンパーの迷惑にもなりかねませんので、十分に注意が必要です。
また、乾燥注意報が出ている場合は、周辺の草や木、そして周囲のテントやタープに火が付きやすくなりますので、さらに注意が必要になります。
場所決め
安全は焚火を楽しむための大前提ですので、安全に焚火が出来る場所を確保する必要があります。
風向きを確認し、風下側に燃えやすいものが無い場所で、周囲の草や木、そしてタープやテントから、最低でも3m以上は離す必要があります。
また、焚火をする場所は、出来る限り地面が土や砂利になっている場所を選び、それプラス焚火シートを敷いて焚火台を設置します。
消火の準備
火を起こす前に、必ず消火用の水または消火器をすぐに使える場所に用意し、トラブルの際は直ぐに使えるようにしておく必要があります。

焚火のやり方
着 火
先ずは着火剤に火を着け、細かく割った針葉樹の薪や、細い枝に火を着けます。
徐々に細い薪や枝を増やしていき、酸素を加えながら火を大きくしていきます。
火を育てる
火が大きくなってきたら、中くらいの針葉樹の薪を徐々に足して、火力を安定させます。
その際に、安定して空気が通りやすい「井桁型」や、火力が集中しやすい「合掌型」に薪を組むのが定番で、薪の間に適度な空気の通り道を作ってあげることが大事になります。
火を維持する
火が安定してきたら、広葉樹の薪を使って火力を安定させます。
後は、薪の燃え具合を見ながら、どのくらい火が持つのか確認して薪を足して火を楽しみますが、絶対に薪を足し過ぎないようにするのがポイントです。
そろそろ寝ようかなと思っても、なかなか火が消えずに大変な思いをしますので、薪を足す際は十分に注意して下さい。

焚火の楽しみ方
焚火の楽しみ方は無限ですし、心を満たす最高のエンターテインメントでもあります。
炎を眺めながらゆったり過ごす時間は格別ですし、焚き火を囲んでのコーヒーやウイスキータイムも何とも言えない非日常を楽しむことが出来ます。
また、焚火に慣れてきたら、キャンプ飯や酒の肴を作るのも楽しいでしょう。
炎の揺らぎが、日頃の疲れを癒し、ストレスを解消してくれるでしょう。
焚火のNG行動
楽しい焚火には、最低限守らなければならないルールやマナーがありますので、知らずにやってしまうと、トラブルや自然破壊につながることもありますので注意が必要です。
【焚火のNG行動】
●焚火禁止エリアでの焚火。
●直火禁止エリアで、焚火台無しで焚火。
●ゴミやプラスチックを燃やす。
●強風時の焚火。
●火を放置して就寝したり、席を離れる。
●消火不十分なままの就寝。
●灰などを地面に埋める。
以上が焚火のNG行動ですが、どれも当たり前の事で、普通に考えれば分かる事ばかりですが、キャンプの楽しさの余り、つい調子に乗ってやらかしてしまうのだと思います。
ルールやマナーを守り、自然と他のキャンパーに配慮することが本当のキャンパーの証ですし、本来の焚火を楽しむことが出来るのです。
焚火の後片付け
焚火の終わり方も大切なマナーのひとつですし、完璧な後始末をしてこそ焚火を完了することが出来ます。
完全消火
火が残っている薪や炭に水をかけ、完全に熱がなくなるまで冷ましますが、煙が出なくなっても、灰の中に火が残っていることがありますので、十分に確認して下さい。
灰の処理
冷えた灰は、キャンプ場の指定された灰捨て場へ捨てます。
キャンプ場によっては灰捨て場が無い所もあり、その際は火消し壺やジップロックなどに入れて持ち帰る必要がありますので、事前に確認しておく事をおすすめします。
焚火台の下に落ちた灰や燃えカスも、ブラシで丁寧に掃除しておくと、次に使う人への思いやりにもなります。
来た時よりも美しくを心がけ、焚き火の思い出と共に環境への配慮も大切にしましょう。

焚火のマナーチェック
以下は、、焚火のマナーチェックシートになりますので、NG行動とならないようチェックして下さい。
| チェック項目 | OK行動 | NG行動 | |||||||||||
| 天気予報 | 風の強弱などを事前に十分に確認 | 特に気にすることなく焚火の準備 | |||||||||||
| 焚火場所の確認 | 焚火台を使用し、地面を保護する | 直火で地面を焦がす・芝を焼く | |||||||||||
| 焚火台の設置箇所 | 周囲の草木やテントから3m以上離す | テントのすぐ近くで焚火をする | |||||||||||
| 薪の使い方 | 広葉樹と針葉樹を状況で使い分ける | 湿った薪やゴミを燃やす | |||||||||||
| 火力の調整 | 小さな火で安定した炎を保つ | 強火で火の粉をまき散らす | |||||||||||
| 煙の配慮 | 風向きを確認し他人に煙を向けない | 周囲に煙をまき散らして放置 | |||||||||||
| 会話のマナー | 焚火を囲み静かに語り合う | 大声で騒いで他サイトに迷惑をかける | |||||||||||
| 消火・後片付け | 水で完全に鎮火し、灰を持ち帰る | 火種を残したまま放置・放水不足 | |||||||||||
| 自然への配慮 | 周囲の木々や地面を傷つけない | 枯れ枝を折る・自然物を無断使用 | |||||||||||
ほとんどのNG行動は、普通に考えると誰にでも分かる事ばかりですが、キャンプの解放感もあり、つい調子に乗ってやらかしてしまう事があるのかもしれません。
しかし、つい調子に乗って・・・では済まされない事が起きてしまう危険性がありますので、ルールやマナーを守り、楽しいキャンプを過ごしましょう!
焚火のまとめ
今回は、キャンプで焚火を楽しむ方法と、絶対にやってはいけないNG行動についてでしたが、いかがでしたか?
焚火は、火を起こす行為ですが、それと共に自然と向き合う時間でもあります。
出来るキャンパーほど、火と丁寧に付き合い、周囲への気配りを忘れません。
着火の技術よりも、火を安全に楽しむ姿勢こそが焚火を楽しむための第一歩です。
マナーを守って焚火を楽しめば、違ったキャンプの景色が見えてくるはずです。
それではまた!




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