
「スロージギング」を始めるにあたり、多くの釣り人が「夢」と「期待」に満ち溢れているのではないでしょうか。
SNSや釣り動画を見れば、軽快なロッド操作で次々と巨大な青物や根魚を釣り上げる光景が目に焼き付き、「これなら自分にも大物が釣れるはず!」と誰もが思うはず?
実際、専用のタックルを揃え、意気揚々と船に乗り込んだものの、現実は・・・?
ひたすらシャクり続け、疲れだけが残り・・・、「なんで俺だけ釣れないんだ?」と、理想と現実のギャップに愕然とする。
これは、スロージギングを始めたばかりの誰もが通る「洗礼」とも言えます。
この記事は「誰でも簡単に釣れる」という甘い理想は一旦脇に置き、スロージギングの本当の難しさと、それを乗り越えるための具体的な思考法や技術を徹底的に解説します。
単なるタックルの話やシャクリ方の話に留まらず、「魚の目線」に立った戦略や海中の状況を読むためのノウハウ、そして何より「釣れない時間との向き合い方」に焦点を当てます。
この現実を知り、正しいアプローチを身につければ、あなたのスロージギングは劇的に変わります。
理想と現実の壁をぶち破り、爆釣への扉を開きましょう!
スロージギングを知ったきっかけは
以前と違い、スロージギングを始めるきっかけの多くは、やはりYouTubeなどの動画や、InstagramなどのSNSによるものが多いのではないでしょうか。
プロアングラーが潮を読み、メタルジグを軽やかに操りながら大物を次々と釣り上げる姿は、見ているだけで心が躍ります。
あの独特のスローピッチジャークの動き、ロッドのしなり、ドラグが鳴る瞬間・・・、まるで自分もその場にいるかのような高揚感を覚えるでしょう。
また、SNSでは「10kgオーバー連発!」などの投稿も目立ち、初心者は「これだったら自分にも釣れるかも」と夢を抱きます。
しかし、現実は映像とは違いますし、そこには、映像では伝わらない「重みと難しさ」が隠されています。
初心者が抱くスロージギングのイメージ
初心者がスロージギングを始める際に、どのようなイメージを抱いているのでしょう。
誰でも簡単に大物が釣れる
動画や雑誌の影響で、「ジグを落としてハンドルを数回巻くだけで青物や根魚が連発!」というイメージがすり込まれているのではないでしょうか。
体力が必要なハイピッチジャークと比べて、誰でも手軽に大物を狙える「釣り方」だと捉えられがちです。
特に多くの釣り動画では、釣れない部分は誰も見てくれないのでカットされ、釣れた部分のみを編集してあるため、余計にも釣れるイメージが定着されたのではないか。
専用タックルさえ揃えれば釣果が出る
高価な専用ロッドとリール、そして人気メーカーのジグさえ揃えれば、道具が魚を連れてきてくれると思っている方が多いように思います。
道具の性能に過度な期待を寄せ、使いこなしの技術を軽視している部分が多いように思います。

決まったシャクリ方(パターン)がある
近年特に多いのが、「動画で見た通りに真似てやればOK!」と、特定のシャクリ方に固執する方を多く見掛けます。
その日の潮や水深、魚種に関わらず、同じパターンを続ければいつか釣れる、というイメージを持たれている方が多いようです。
圧倒的な集魚力
ジグが大きくヒラヒラと舞うフォールアクションは、広範囲の魚を魅了し、強制的にバイトに持ち込める「最強の誘い」だと思い込んでいる方が多いように思います。
以上、これらのイメージは、半分正しく、半分は誤解です。
誰にでも簡単に釣れるような釣りであれば、誰もやらないのではないでしょうか?
簡単に釣れないから試行錯誤を繰り返して何度も挑み続けるのであって、そのデータが蓄積される事によって、様々な状況に合わせたアプローチが出来るようになります。
また、道具が重要なのは事実ですが、その性能を活かす技術が無ければ宝の持ち腐れになってしまいます。
スロージギングのリアルな壁
思った以上に「体力勝負」
スロージギングは「スロー」という言葉が付いているため、のんびりした釣りと思われがちですが、一日中ジグをしゃくり続ける作業は、想像以上に体力を消耗します。
確かに、ハイピッチジャークを繰り返すジギングに比べると、体力的には楽ですが、それでも初心者が思っていた以上に体力は必要です。
特に最初のうちはフォームが安定していないため、無駄な力が入りますし、船の揺れに合わせてバランスを取りながら、リズム良くしゃくりを続けるのは簡単ではありません。
ベテランのように軽やかに、そして簡単そうに見える動きも、実際は長年の経験による身体の使い方によるものなのです。
また、繊細なアタリを取るために集中力が必要で、一日中ラインなどの変化に神経を尖らせ、わずかな違和感を感じ取ろうとする作業は、精神的に非常に疲れるものです。
とはいえ、体力面は徐々に慣れていきますので、無理せず休憩を取りながら、1日を楽しむことを意識するのが大切です。
魚が簡単には釣れない
動画では簡単に釣れているように見えますが、実際のスロージギングでは「無」の時間が圧倒的に多いものです。
潮の流れ、ジグの動き、水深、船の流し方・・・、どれか一つでも噛み合わなければ魚は口を使ってくれません。
特に初心者がつまずくのが「ジグ操作」。
スロージャークのテンポやフォールスピードが合わないと、魚にアピールできません。
同船者が釣れているのに、自分だけアタリがない・・・、そんな時間が続くと、メンタル面でも辛くなります。
しかし、魚が釣れない時間をどう過ごすかが、この釣りの本質です。
潮の変化を感じ取ったり、ベテランの釣り方を見てロッド操作を試行錯誤する時間こそが、上達への近道となります。

「フォール」も「間」も思うように決まらない
スロージギングの最大の特徴である「フォール」と「間」。
この2つを自在に操るのが上級者の証といえます。
しかし初心者のうちは、どうしても「ジグを動かすこと」に意識が向きすぎてしまい、魚を誘うための「間」が出来ていません。
スロージギングは、ジャークよりもフォールで食わせる釣りであり、フォール中にジグがどう動いているかを「想像する力」が重要な釣りです。
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道具が揃うまでの出費が痛い
スロージギングのもう一つの現実は、「お金」ではないでしょうか?
実際に、ロッドやリール、ラインやリーダーなど・・・、全てを揃えると、初期費用だけで軽く10万円を超えることも。
さらに、有名メーカーのメタルジグは1本2,000〜3,000円が相場ですので、根掛かりやラインブレイクでロストするたびに、財布へのダメージが蓄積していきます。
最初のうちは「釣れないのにお金だけ減っていく」と感じることも少なくありません。
ただし、これは多かれ少なかれ他の釣りジャンルにも共通することです。
スロージギングでは一度タックルを揃えさえすれば、長く使えるという利点もありますし、少しずつ揃えて、自分に合ったスタイルを見つけるのが賢い始め方でもあります。
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タックル選びの落とし穴
高価なタックルを揃えたのに釣れない、というのも初心者が抱える大きなギャップではないでしょうか。
ロッドの「適合ジグウェイト」の誤解
ロッドには適合ジグウェイトが記載されていますが、これは「その重さのジグをシャクってもロッドが折れない」という意味ではありません。
その重さのジグを最も「理想的に操作できる」ウェイトという意味です。
自分が行こうとしている釣り場で使われるジグの重量を、遊漁船の船長やショップの方に聞くのが間違いありません。

リールの「ギア比」の選択ミス
スロージギングには、様々な応用が利くハイギアのリールがおすすめです。
なかには、大物が釣れた時のために、ラインを巻上げる力が強いローギアやハイギアと呼ばれるリールを推奨している記事もあります。
しかし実際には、早く巻いたりゆっくり巻いたり、様々組み合わせながら釣りをしますが、ローギアのリールで早く巻くほうが大変です。
また、ハイギアだからといって、大物が釣れた際に巻上げが出来なかったという事はありませんでしたので、お伝えしておきます。

ラインとリーダーのバランス
初心者の方は、「大物を獲りたいから」ということで、PEラインとリーダーを太くしすぎる傾向が強いように思います。
ラインが太くなると、潮流の影響を強く受けてジグが流されやすくなりますし、垂直落下による理想的なフォールアクションが困難になりますので注意が必要です。
理想とのギャップをどう楽しむか
スロージギングは、ここまでの内容だけを見ると「釣れない釣り」と感じるかもしれません。
しかし、海の状況を読み、潮の流れを感じ、1本のジグで魚を探っていく過程こそが、スロージギングの真髄と言えます。
「今日は釣れねーなー」と言いつつも「楽しい」と思えるようになると、理想と現実のギャップはむしろ魅力に変わります。
ひとつの海域で潮流を読み切ったり、自分の操作で初めて魚を掛けたときの感動は、言葉にできません。
ギャップを楽しむことが出来た方は、スロージギングの本当の面白さに気付いた証拠です。
経験者が語る「続けるためのコツ」
スロージギングを長く続けるためには、」釣果にこだわりすぎない”ことが大切です、などと立派な事を言っていますが、いまだに釣果に一喜一憂していますが。
上手くいかない日は、あえて「あまり出番のないジグの動き方を観察する日」などと、目的を変えて見るのもおすすめです。
また、体力に自信がない場合は、少しでも軽めのタックルを選ぶのも一つの手です。
ロッドやリールの軽量化や、ジグの重さを見直すだけでも、快適さは格段に変化する場合があります。
さらに、同船者との会話や、釣りの合間の景色を楽しむこともモチベーション維持に繋がります。
「大好きな釣りを楽しむ」、それを忘れない事が継続の秘訣ではないでしょうか。
まとめ:スロージギングは奥が深いから面白い
スロージギングの「理想と現実のギャップ」は、初心者が成長するための「最大の試練であり、最高の教材」でもあります。
スロージギングは、極めて知的なゲームであり、「状況判断力」「繊細な操作技術」「体力と忍耐力」が問われる、奥の深い釣りです。
釣れない現実を知り、その原因を追求し、自らの戦略を修正していく、このプロセスこそが、スロージギングの醍醐味です。
釣果は、ロッドやリールの性能ではなく、あなたの頭脳と腕が作り出す「海中での演出」によって決まります。
試行錯誤を続けるアングラーだけが、やがて来る爆釣という最高の報酬を手に入れることができます。
焦らず、集中力を切らさず、一歩ずつ技術と知識を積み重ねていけば、その道の先に、きっと大物との出会いが待っています。





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