
スロージギングにおいて「メタルジグの色選び」は、想像以上に釣果を左右する重要な要素です。
「昨日は釣れたのに、今日はなぜか全然ダメ」そんな経験をした方も少なくないのではないでしょうか。
その鍵を握るのが「海水の色」とも言われており、海の透明度や濁り具合、光の入り方によって、魚から見えるジグの印象は大きく変わります。
本記事では、海水の色がどのようにジグの見え方やアピール力に影響するのか、そして実際にどんなカラーを選ぶのが有効なのかを、実釣目線と理論の両面から解説します。
メタルジグのカラー戦略をマスターし、今後の釣果を劇的に向上させましょう!
それでは始めます!
初めに:ジグカラー選びは「答え」ではなく「仮説」
ジグカラーの選び方に正解はありませんし、「今日はこの色で釣れる」と断言できる釣り人はいません。
その日の海色、天候、潮流、時間帯、そして魚の活性等々、あらゆる条件が組み合わさって、最適なカラーが決まります。
大切なのは、「仮説を立てていろいろ試す」ことです。
澄み潮だからナチュラル系、濁り潮だからアピール系、といった定石を軸にしながら答えを探っていくしかありませんし、それがジグカラー選びの面白さでもあります。
その積み重ねが、スロージギングの本質であり、釣りの醍醐味でもあると思います。

海の色が釣果を左右する理由
スロージギングは「ジグを見せて食わせる」釣りです。
魚がジグを発見し、興味を持ち、最終的に口を使うまでの過程には、魚にジグが「どう見えているか」が非常に重要で、視覚情報が深く関わっていると言われています。
海の色は、光の吸収や反射、プランクトンや泥の濁り、雪解け水や潮流などの影響によって常に変化します。
透明度が高い日には太陽光が深くまで届き、ジグ本来のカラーがナチュラルに見える一方、濁った海では光が乱反射し、暗い色が溶け込んで見えにくくなります。
つまり、海の色は「ジグの見え方=魚の認識」に直結するのです。
経験豊富なアングラーほど、「今日は水が澄んでいる」「やや緑っぽい」等々、海の色を観察してカラーを変えていて、これが釣果を分ける第一歩になります。

魚にとってのメタルジグ
我々釣り人にとってメタルジグは「金属の塊」ですが、水中の魚にとってそれは「弱ったベイトフィッシュ」です。
魚がジグを捕食対象として認識する過程において、カラーは非常に大きな役割を担います。
●遠距離でのアピール(視認性)
濁りの中で目立つ色、深場で光を反射する色。
●近距離での食性(違和感のなさ)
捕食しているベイトに酷似した色、または警戒心を解くナチュラルな色。
特にスロージギングでは、ジグが潮に乗ってフワフワと漂う時間が長いため、魚がジグを観察する時間も長くなります。
この観察時間に、「色が合っていない」という違和感を与えてしまうと、途端にバイトチャンスは遠のいてしまうと言われています。

海水の色を決める3つの要素
海の色が変わる要因は、主に以下の3つに分けられます。
【光の吸収と散乱】
太陽光の中で赤や黄色は水中で吸収されやすく、青い光だけが残るため、海は青く見えます。
水深が深くなるほど赤系の色は見えづらくなり、青や緑系が残るのが特徴です。
【プランクトン濃度】
プランクトンが多い海は、緑がかった色になります。
三陸沖や外房など、潮目が多いエリアではグリーン系の海が多く、ナチュラルカラーよりも少しアピールの強い色が有効な場合があります。
【濁り・地形・潮流】
大雨の後や沿岸部では、泥や砂によって海が茶色く濁ることがあります。
この場合、魚が視認しやすい「コントラストの強いジグ」が効果的で、ゴールド系、赤金、グローカラーなどが定番です。

海水の色別・ジグカラーの選び方
それでは、海水の色とジグカラーについて見ていきます。
濁りが光の透過に与える影響
海水が濁る(プランクトンや泥が増える)と、光の透過率は著しく低下します。
●澄潮(クリアウォーター)
光は深くまで届きますが、青や緑以外の色は水深とともに徐々に吸収されます。
●濁り潮(マッディウォーター)
微粒子が光を激しく散乱させ、光自体が水深数メートルで大幅に減衰します。
このため、深場は非常に暗くなります。
しかし、散乱によってジグの表面で反射した光は、かえって魚の側線や目により強く認識される場合があります。
この科学的な背景を踏まえて、具体的なカラー戦略を考えていきましょう。
海水の色別!メタルジグカラーの法則
澄潮(クリアウォーター)の攻略
【海水の状態】
透明度が高く、水底やジグの動きがよく見える状態で、光が深くまで到達します。
【魚の視点】
非常に警戒心が強くなり、ジグが鮮やかすぎたり、派手な動きをしたりすると、すぐに「偽物」と見破られる事があります。
【推奨カラー】ベイトに擬態し、違和感を与えないカラー。
●シルバー系/フルシルバー
ベイトフィッシュの腹や側面を最も忠実に再現した色とされ、ギラつき過ぎず、自然な反射でアピールします。
●シルバーブルーやブルーピンク等
青物はイワシ(青)を捕食し、ピンクは体内に残る血液の色や弱った魚の色を表現すると言われており、澄潮では最も信頼できるベイトフィッシュカラーとされています。
【カラーローテーション例】
まずはフルシルバーやブルピンのナチュラル系からスタート。
反応が鈍い場合は、グローを抑えたピンクなどで、少しだけアピールを足す程度に留めます。
以下は、爺が使っているメタルジグになります。

爺が使っているシルバーのメタルジグになります。
シルバーは爺のパイロットカラーでもあります。
上:シーフロアコントロール アビス
中:シーフロアコントロール アーク
下:ディープライナー スパイ-C

爺が使っているシルバーブルー系の、イワシを模したカラーになります。
夏場以降は外せないカラーでもあります。
上:シーフロアコントロール レクター
中:メジャークラフト ジグパラ バーチカル ショート
下:ディープライナー スパイ-C
笹濁り〜薄濁りの戦術
【海水の状態】
海の色がうっすらと緑がかったり、少し白濁している状態で、プランクトンが多量に含まれていることが多い水の色です。
【魚の視点】
適度な濁りが魚の警戒心を和らげます。
しかし、光の透過がやや悪くなるため、ジグの存在を気づかせることが重要になると言われています。
【推奨カラー】適度な反射で存在をアピール。
●レッドゴールド(赤金)
濁り潮で最も効果を発揮するカラーの一つと言われています。
ゴールドは濁った水中で光を乱反射させ、非常に強いアピール力を持ち、赤は水深が浅ければ食性を刺激し、深くなればシルエットとして際立ちます。
●グリーンゴールドやオレンジゴールド等
ゴールドの強い反射力をベースに、グリーンやオレンジ等の強い視認性をプラスしたカラーで、濁りの中でも魚にジグの存在を明確に知らせます。
●ゼブラグロー系
全面グローは強すぎることがありますが、ゼブラパターンは濁りの中でメリハリのあるアピールを生み出すと言われています。
【カラーローテーション例】
レッドゴールドを基軸に、反応を見ながらグリーンゴールドやオレンジゴールドへ。
濁りが強いと感じたら、ゼブラグローを投入し、ジグのシルエットをはっきりと浮かび上がらせるのが有効とされています。

写真は、爺が使っているグリーンゴールドのジグです。
以前はレッドゴールドのジグも持っていましたが、最近は使っていませんし、「いつの間にか無くなってました。
上:Daiwa 鏡牙ジグ セミロング
下:シーフロアコントロール S-レジェンド

爺が使っているゼブラグローのメタルイグです。
上:Daiwa ジャイブチョッパー
中:シャウト ステイ
下:ディープライナー スパイ-C

茶濁り(マッディーウォーター)の戦術
【海水の状態】
大雨後の河口付近や赤潮発生時など、水が泥色や赤色に濃く濁っている状態です。
光は水面近くでほとんど吸収・散乱されます。
【魚の視点】
視界が非常に悪く、魚は側線(水流感知)と嗅覚に頼ってベイトを探していると言われていて、ルアーが視認できる範囲が極端に狭くなります。
【推奨カラー】最大限のアピールで魚にジグの存在を認知させる。
●ブラックやレッド、パープル等
濁りの中で、あえて光を反射させない暗い色を使うことで、ジグのシルエットを際立たせ、魚に「捕食対象の形」を認識させやすくすると言われています。
●フルグロー
視界ゼロに近い状況では、グローの自発光が唯一の頼りです。
水中で光を放つことで、魚の極めて狭い視界の中でも「何かいる」というサインを強く伝えると言われています。
●チャート(蛍光イエロー)等
濁りの中でも極めて高い視認性を誇る色です。
濁りの強い場所では、反射光よりも蛍光色の「色そのものの強さ」が有効とされています。
【カラーローテーション例】
先ずは、フルグローやチャートの最強アピールで魚の反応を探ります。
反応が芳しくない場合は、一転してブラックやレッド等のシルエット強調系にチェンジし、魚に「違和感のない形」をアピールします。

これが、爺が使っているブラックやレッドのジグになります。」
海水が濁っていなくても、根魚に実績があるカラーでもあります。
上:ビート ビーライン
中:ネイチャーボーイズ スローライダー
下:ディープライナー スパイ-Ⅴ
雪解け水による濁りの戦術
【海水の状態】
春先の三陸沖などでは、雪解け水が河川から大量に流れ込み、一時的に独特のミルキーグリーンや乳白色の濁りが発生します。
【魚の視点】
この濁りは泥濁りとは違い、光の透過が弱く、魚の目には「ぼんやり白っぽい水中」に見えると言われています。
【推奨カラー】
光を適度に反射しつつ、シルエットをぼかさないカラーが魚に認識されやすくなると言われています。
また、雪解け時期は水温が低く魚の活性も落ち気味なので、「動き」よりも「見せ方(視認性)」で食わせる意識が大切と言われています。
●シルバーグロー等のゼブラグロー系

ディープエリアでのカラーローテーション
海の色と同じくらい大切なのが「光量」と「水深」です。
水深10mを超えると赤色はほぼ消え、20mを過ぎれば黄色も見えづらくなるなど、魚から見える色は、釣り人が見るジグの色とはまったく違います。
【水深20mまで】
光は比較的届くため、水色に応じたカラー戦略が有効とされています。
【水深30m〜50m】
赤、オレンジ、黄などの暖色系はほぼ見えなくなると言われており、残るのは青や緑、そして光をほとんど反射しない黒っぽいシルエットとされています。
●有効色:ブルピン、シルバー、グリーン系、そしてグロー系。
【水深70m以深(準深海)】
光はほとんど届きません。
●有効色
フルグローやゼブラグローなど、自発光する色が絶対的な強さを持ちます。
また、深海魚は赤い色素を認識できないため、赤金などが水中で黒いシルエットとなり、ベイトの形を際立たせる効果も期待できると言われています。
【ディープでのカラーローテーション例】
まずはグローやホログラムの強いシルバー系で、遠くの魚にジグの存在を知らせます。
それでも食い付かない場合は、ナチュラルなブルピンやグリーン系に変えて試みます。
反応が激渋の時は、フルグローで魚の捕食スイッチを強烈に刺激します。

季節・海域によって変わる「海の色」
日本近海では、季節や潮流によって海水の色は劇的に変化します。
たとえば、三陸沖は春〜夏にかけて親潮の影響でやや緑がかり、秋以降は黒潮の影響で青みが強くなる傾向があると言われています。
この変化に合わせて、ジグのカラーをローテーションすることが重要になります。
【春〜初夏(濁りやすい)】
プランクトン多く、ゴールド・グローベースが有効とされています。
【夏(澄み潮傾向)】
シルバー・ブルー・ナチュラル系が強いと言われています。
【秋〜冬(潮が安定)】
その日の光量に合わせたナチュラルとアピールの中間色が有効と言われています。
また、黒潮系の海(太平洋側)は青く澄みやすく、親潮系(北海道・東北)は緑がかりやすいのが特徴です。
この地理的特徴もジグ選びに反映させると、より安定した釣果につながります。

ホログラムパターンと配色の秘密
カラーと並んで重要なのが、ジグの表面加工であるホログラムパターンと配色の比率と言われています。
ホログラムパターンの使い分け
ホログラムは光の反射(フラッシング)の強さを決定づけます。
【弱フラッシング(ナチュラル)】
プレーンホロやドットパターンなど、控えめな光の反射で、澄潮や高活性時に違和感なく魚に見せることが出来ると言われています。
【強フラッシング(強アピール)】
鱗(ウロコ)パターンやダイヤパターンは、点滅が強く、濁り潮や低活性時に強いアピールで魚を引き付けると言われています。
配色の比率
同じブルーピンクでも、ブルー8:ピンク2のジグとブルー5:ピンク5のジグでは、アピール力が全く異なります。
青物狙いの場合は、ブルーやシルバーの面積を広く取り、ベイト感を強調するのが有効と言われています。
また、マダイや根魚狙いの場合は、ピンクやオレンジの暖色系の面積を広く取り、食性を強く刺激したほうが有利だと言われています。
アングラーはつい派手な色を選びがちですが、食いが渋い状況ほど、配色が地味で反射の少ないナチュラル系が有効な場合があるのも、スロージギングの奥深いところです。

海の色とジグカラーのまとめ
絶対釣れるカラーはありません。
どんなに人間が科学的に裏付けられた法則を語ったところで、「食い付く、喰い付かない」を決めるのは、全て魚です。
大切なのは、この法則を頭に入れつつ、「この状況で、なぜこの色が釣れているのだろう?」と常に考えながら、積極的にジグカラーをローテーションすることです。
まずは、上記のおすすめカラーを各水色・水深で試してみる事をおすすめします。
その経験を基にカラー戦略を練り、自分なりのカラーローテーションを探るのも、スロージギングの楽しみでもあると思います。




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