今年は熊による被害のニュースが絶えない。
北海道や東北だけではなく、今までは見られなかった地域にも出没するようになっているという。
以前もクマの出没のニュースはあったが、今年は毎日のようにニュースで流れており、人身被害も過去最多だと聞いている。
これは爺にとってもいろんな意味で大問題である。
爺の趣味にも影響が。
爺はフライフィッシングという渓流釣りも趣味で楽しんでいて、一人で釣りに行くこともあるが、以前はさほど気にすることなく釣りを楽しいんでいたものが、近年は熊の出没が多発していることから、「ガサッ」と音がしただけでビビってしまい、気になって気になってその後は釣りに集中できなくなる。
非常にビビり屋だということもあるが、一人だと「何かあったら・・・。」とつい考えてしまい、道路脇の入渓しやすいポイントを釣ることになるが、そのようなポイントは魚がスレていて爺のような下手な釣り師にはなかなか釣れない。
友人と二人で行く場合は岩手の内陸や秋田方面に遠征して釣りに行くこともあるが、今年は大雨にたたられて中止となったり、スケジュールが合わなかったりして行けなかった。
仮に今年二人で行けたとしても、結局は熊が怖くて開けた場所でしか釣りが出来なかったと思うが。
あくまでも釣りは趣味であり、熊が生息している場所へお邪魔して楽しむ遊びなので、絶対に無理はしないようにしている。
デカいイワナが泳いでいる、あのポイントに行ってみたいが・・・。
熊の習性。
熊は本来臆病で警戒心が強く、人の気配を感じると熊のほうから離れていくと聞いたことがある。
また、熊が人に危害を加えるのは、「子連れの熊」や「山菜取りの人と山でバッタリと遭遇」した場合などで、熊鈴やラジオを鳴らして人の存在を熊に示せば、そうそう襲われることは無いと聞いていた。
それが今年は人工的な音であふれている街中にも悠然と姿を現したり、家の中に入り込んで食べ物をあさったりと、何処に現れてもおかしくない状況である。
先日は仙台の青葉区に現れたとニュースで観たし、秋田県ではバス停でバスを待っていた高校生が襲われたり、岩手では毎日のように牛舎に入り込んで牛と一緒に飼料を食べているという熊の映像が流れたりと、熊本来の習性とは掛け離れた行動をしている熊が増えているみたいだ。
今年は山にブナの実などの熊が食料としている物が不作で、餌を求めて人里に降りてきていると聞くが、果たして原因はそれだけだろうか。
アーバンベア。
今年はアーバンベアという聞きなれない言葉をニュースなどでよく耳にした。
市街地近くの森林で生まれ育ち、人の近くで生活した都市型の熊をアーバンベアと言うらしく、常に人の存在を感じて育った熊は人を恐れなくなっているという。
その要因は、人口の減少や高齢化の影響により耕作放棄地が増え、草刈などの手入れがされなくなったために雑草などが生い茂り、結果人里に近いところに熊が下りてきて生息し始めて人を襲ったりする、というものだ。
都市型の熊ということだが、もしかすれば爺より都会に詳しいかもしれない。
爺が実際に渓流釣りに行っても、川の近くに田んぼや畑などがあって開けていた場所が、年々耕作放棄地が増えていき、川の周辺が雑草だらけになってきているのを見てきた。
背丈より高い熊笹などをかき分けて川に行くのは、さすがにいい気分はしないし、実際にそのような場所で熊に襲われたという事例も耳に入ってきている。
このまま耕作放棄地が増えて行けば、アーバンベアは今後ますます増えていくらしく、人の生活圏と熊の生活圏がさらに近くなっていくのではないかと心配だ。
特に子供たちが被害に遭うのが怖い。
子供たちにとって外で思いっきり遊ぶということは、ある意味一番大事な事であると思うが、仮に生活圏が熊と一緒になったら、子供たちは外で遊んだり、大声で笑ったりして楽しむことが出来なくなるということである。
ただでさえ少子化で子供たちの笑い声を聞く機会も減り、寂しい限りであるが・・・。
マタギの減少。
マタギとは、東北地方や北海道、関東や甲信越地方の山間部や山岳地帯で、集団で狩りをする方々の事である。
古くから伝わる技法で狩猟を行う方々であり、「熊は山の神様から授かったもので、必要以上の獲物は獲らない。」などの古くからの教えを守って猟をしている方々です。
以前はマタギの方々がいたために、怖がって人里に熊が下りてくる事も無かったが、今はその方々も高齢化し、さらに若い後継者もいないため、熊が人を怖がらなくなった、と言う方もいる。
マタギやハンターには誰でも直ぐになれるものではなく、直近の対策にはならないが、国や自治体がマタギやハンターの育成に力を入れるなど、将来を見据えた対策をしないと、今後はさらに被害が増えるのではないかと爺は思う。
熊対策はどうすればいいの?
それでは私たちはどうすればいいのだろう?
熊鈴や笛。
被害に遭われた方々の多くは、山菜取やキノコ狩りで山に入って熊に遭遇して襲われたケースが多いそうだ。
やはり熊の生活圏に入り込んで行うことなので、基本的には人間の存在を熊に知らせるしかないらしい。
熊鈴を腰にぶら下げて常に鈴の音を出しながら、またラジオを掛けたり音の大きい笛をちょくちょく吹きながら歩くなど、とにかく音を出しながら熊に人間の存在を知らせるのが一番いいらしい。
爺の経験であるが、熊鈴の音は川の音にかき消されるような感じがするので、川に入った後はたまに笛を吹きながら釣りをしている。
ちなみに爺が釣りやトレッキングの際に使用している熊鈴と笛を紹介する。
左がmont-bell製の熊鈴で、カラビナの部分を引っ張ると音を消すことが出来て、トレッキングの際のトイレに行く際などには便利で、音色も美しくて非常に気に入っている。
真ん中もmont-bell製の熊鈴で、熊鈴と言えばこんな音みたいな「カラン、カラン」と言った音がする。
爺は釣りに行くときはこの音色が違う二つをベストの両脇に付け、トレッキングの際はバックパックの両側にぶら下げて使用している。
右は一般的によく見る笛で、たしか10年ほど前に百均で購入したと思う。
この笛はリールが付いていて、鳴らすときには引っ張って笛を吹き、使い終われば勝手に巻き取ってくれるので非常に便利で、釣りの際にベストの内側に付けて行っている。
特に消音機能が付いた熊鈴は、人が多い時などにすぐに音を消せるので非常に重宝しています。
mont-bell製以外にも消音機能が付いた熊鈴がありますので、参考までに。
熊撃退スプレー。
ちなみに爺は熊撃退スプレーなるものも持って歩いている。
トレッキングの際には直ぐに取り出せるよう、バックパックのドリンクホルダーに入れて持ち歩き、釣りの際にはウェーディングベルトにホルスターを通して腰にぶら下げて持ち歩いている。
「熊が急に現れたりしたら、そんなの取り出している時間が無くて意味がない。」と言う方もいる。
実際に遭遇した時は冷静に取り出せるか爺も不安ではあるが、少し離れた状態で熊を見つけた時などは何とかなるのではないかと思うし、何より持っているという気持ちの安心感があるのでいつも持ち歩いている。
これにも大きいやつや小さいやつなど種類があるが、気を付けなければならないのは使用期限が定められているので、期限が過ぎたものを持ち歩いていて、いざとなった時に思うように噴出さなかったということも考えられるので、それを確認して持ち歩くようにして下さい。
むやみに山に入らない。
先人たちと言うか、高齢の方々は昔から、「この時期はこの山菜を食べる。」とか「今頃はこのキノコが食べごろだ。」とか、幼い頃からそうして育ってきているので、何時ものように山に入って色んなものを取って来ては食べたり、保存食としたりして生活してきた。
そういう山と共に育ってきている方々でも熊に襲われるような時代であり、あまり知識の無い方々が近年の山菜ブームなどで山に入っているのをよく見掛けるが、自分の命を危険にさらしてまで山菜を取って食べようとは爺は思わない。
それも最近は、所有者に無断で勝手に山に入って山菜取りを行い、挙句の果てには昼に食べ残した残飯やゴミなどを捨てていく方もいて、それに熊が寄ってきて本当に危ないと嘆いていたのを聞いた事がある。
その人たちの大半は、年齢を重ねた高齢者だと聞いた。
同じような年齢の爺としては、何とも恥ずかしい限りである。
アーバンベア対策。
アーバンベアの対策としては、
・家の周囲や農地周辺の藪を刈り払い、見通しをよくする。
・屋外に残飯など熊が食べるものなどを置かない。
などの方法があるが、具体的にこれといった対策は今のところ無いらしく、地道にコツコツやっていくしかないみたいだが、高齢化により刈り払い作業そのものが大変な方々も多いため、まだまだ課題は多いと聞く。
また近年の空き家問題もあり、そこに熊が身を潜めている場合もあるため、一筋縄ではいかないらしい。
ある地域の小学校では生徒全員に熊鈴を配布したというニュースを観たが、それだけでは万全とは言えないので、今後は地域全体で子供たちを見守っていくしかないのだろう。
最後に。
本当にたまにではあるが、爺はトレッキングも楽しんでいる。
今年は岩手県宮古市の浄土ヶ浜のみちのく潮風トレイルという遊歩道で観光客が襲われたとニュースに出ていた。
浄土ヶ浜周辺は大変奇麗な景勝地として有名であり、夏場は結構な数の観光客や外国人もトレッキングを楽しみような場所であり、そこで熊の被害があったことは非常にショックだった。
数年前には奥入瀬渓流沿いに熊が頻繁に現れ、遊歩道が一時閉鎖されたこともある。
奥入瀬渓流沿いの遊歩道は車で通っただけでは絶対に見れない素晴らしい景色があり、爺は春の新緑の季節や秋の紅葉シーズンには必ずと言っていいほど訪れている大好きな場所である。
このように観光地だから安全ということは今は無いのだろう。
来年はさらに熊の出没が増えるという方もいれば、来年は今年より木の実などが多くなるため今年よりは少ないのではないか、などと言う方もいる。
どちらが正しいかは来年になってみないと分からないが、アーバンベアの存在がある限り常に危険があると頭に入れて行動しなければならないのだろう。
「自分の身は自分で守る、子供たちは周囲の大人が見守る。」結局今の時点ではそれしかないのだろう。
皆様には「お互い十分気を付けましょう。」 としか言いようがないのが歯がゆい爺でした。
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