爺のキャンプ用品シリーズの第10弾は、爺が持っているガスストーブを実際に使ってみて、湯が沸くのにどれくらい時間が掛かるか比較してみようと思います。
前回の記事でIwataniのオリジナルブランドFORE WINDSから発売されているコンパクトキャンプストーブを購入したことをご紹介しましたが、その後実際にラーメンでも作ってみようかと考え・・・「そうだ、他のバーナーと火力を比べてみよう」そう思ったのです。
そこで、実際に湯を沸かして沸騰するまでの時間を計測し、カタログ上の出力通りなのか比較して行こうと思います。
それでは始めましょう。
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・テント編
・タープ、タープポール&ペグ編
・ランタン編
・シュラフ、マット&コット編
ガスバーナーの火力(出力)とは
ガスストーブの火力(出力)とは、kW(キロワット)やkcal/h(1時間当たりの消費カロリー)で表され、数値が高いほど高出力という事になります。
この記事で紹介するのは全てkcal/hに統一します。
バーナーヘッドの形状
バーナーヘッドの形状は調理や湯を沸かす時間に大きく影響します。
ヘッドの形状によって風の影響を受けにくかったり受けやすかったり、また炎の形にも影響しますので、それについてご紹介します。
すり鉢状のバーナーヘッド
これがすり鉢状のバーナーヘッドです。
ガスの噴出し部分が囲われているのがわかると思いますが、これが風の影響を和らげます。
写真は最近購入したFORE WINDSのコンパクトキャンプストーブのバーナーヘッドです。
このヘッドタイプは炎が真っ直ぐ上に伸びるため、大きなクッカーでは全体を熱することが出来ないため、どちらかというとソロクッカーやせいぜい2~3人用までのクッカーが適していると言えます。
ドーム型のバーナーヘッド
これがドーム型のバーナーヘッドです。
ガスの噴出し部分がヘッド部の外側に向いていて、クッカーの全体に炎が行くようになっていますが、むき出しになっているため風の影響を受けやすくなっています。
写真はキャプテンスタッグのオーリック小型ガスバーナーのバーナーヘッドです。
このヘッド形状の特徴としては、炎が周囲へ拡散するので小さなソロ用のクッカーだと炎が脇からはみ出てしまい、下手をすると持ち手のシリコンゴム等を溶かしてしまう事になりかねませんので注意が必要です。
最低でも2~3人用のクッカーで使用するのが適していると思います。
ストーブの炎の形
炎の形もヘッドの形状とともに、調理や湯沸かしに大きく影響を与えますのでご紹介して行きます。
拡散型の炎
これが拡散型の炎です。
ヘッド部分はドーム型で、周囲に炎が拡散されるような形ですので、クッカー全体に炎が行き渡るようになっているのが特徴です。
前述しましたが、小さなクッカーだと炎が脇からはみ出てしまいますので、持ち手が熱くなったりシリコン等が溶けたりしますので注意が必要です。
直噴型の炎
これが直噴型の炎で、真っ直ぐ上に伸びているのがわかります。
炎がオレンジ色ですが、点火したばかりのためで、直ぐに青色に代わります。
バーナーヘッドはすり鉢状のタイプで炎が1点に集中しますので、大きなクッカーだと温度ムラが出来てしまうので注意が必要です。
ソロから2~3人用までのクッカーが適していると思います。
火力の検証
それでは実際に火力を比べてみましたのでご紹介します。
おまけでアルコールストーブも加えて調査しました。
実際に使用した各バーナーの詳細表になります。
メーカー | プリムス | キャプテンスタッグ | FORE WINDS | エスビット | ||||||||||||||
製品詳細 | 115フェムトストーブ (現116フェムトストーブ) | オーリック 小型ガスバーナー | コンパクト キャンプストーブ | アルコールストーブ | ||||||||||||||
本体重量 | 64g | 300g | 274g | 92g | ||||||||||||||
収納サイズ | 54×74 ×27mm | 117×105 ×65mm | 約120×90 ×70mm | φ74× H46mm | ||||||||||||||
ゴトク径 | 大:120mm 小:80mm | 大:170mm 小:120mm | 160mm | - | ||||||||||||||
ヘッド形状 | すり鉢状 | ドーム型 | すり鉢状 | - | ||||||||||||||
出力 | 2,100kcal | 2,700kcal | 2,300kcal | - | ||||||||||||||
ガス消費量 | 170g/h | 225g/h | 194g/h | - | ||||||||||||||
燃焼時間 | 約80分 ※カタログ上 | 約66分 ※計算上 | 120分 ※カタログ上 | - | ||||||||||||||
点火方式 | 圧電点火方式 | 圧電点火方式 | 圧電点火方式 | ライター | ||||||||||||||
実売価格 ※R6.2月末 | 7,104円~ 7,553円 | 3,723円~ 3,850円 | 5,078円~ 5,121円 | 2,000円程度 |
以上がカタログ上のスペックになります。
数値上の火力(出力)が大きい順に、オーリック小型ガスバーナー、コンパクトキャンプストーブ、116フェムトストーブ(115フェムトストーブ)、アルコールバーナーの順になります。
検証の結果を先に言いますと、コンパクトキャンプストーブが一番早いという結果になりました。
その要因等については後述することとし、検証方法や個々のバーナーの結果についてみていきましょう。
検証方法
比較検証するには公平に行う必要がありますので、爺の自宅で以下の条件で行いました。
使用クッカー・・・スノーピーク アルミパーソナルクッカー(Lポット)φ148×80mm
水・・・・・・・・水道水
水温・・・・・・・9℃
水量・・・・・・・500cc
室温・・・・・・・18℃
火力・・・・・・・全開
計測・・・・・・・iphone14
以上の条件で行いました。
水に関しては一番水温が安定している水道水を使用しています。
また、沸騰したお湯はポットに入れ、その後次の検証のためにクッカーも冷やし、底の水分も十分に拭きとって行っています。
それでは個々のストーブを検証をしていきます。
検証
プリムス:115フェムトストーブ(現116)検証
プリムスの115フェムトストーブ(現116フェムトストーブ)の検証前の写真です。
水温9℃、500ccの水を沸騰させるまでの時間が、約4分59秒でした。
写真では沸騰していないように見えるかもしれませんが、直噴型独特の中心部が盛り上がるような沸騰の仕方なのでこのような写真になりました。
燃焼時の音はコンパクトキャンプストーブの次に大きかったのがこれです。
ヘッドがすり鉢状の直噴タイプのストーブは、ドーム型の拡散タイプに比べて音が大きい特性があるようです。
キャプテンスタッグ:オーリック小型ガスバーナー検証
キャプテンスタッグのオーリック小型ガスバーナーの火力検証前の写真になります。
写真では見にくいですが、0セット済みです。
水温9℃、500ccの水を沸騰させるまでの時間が、約4分10秒でした。
これも写真が見ずらくて申し訳ありません。
ドーム型のヘッドで拡散型の炎のため、ガスストーブの中では一番音が小さかったです。
FORE WINDS:コンパクトキャンプストーブ検証
FORE WINDSのコンパクトキャンプストーブの検証前の写真です。
水温9℃、500ccの水を沸騰させるまでの時間が、
約2分50秒でした。
今回の中では一番早く沸騰しました。
オーリック小型ガスバーナーより1分以上も早いのには驚きです。
また、一番音が大きかったのもこのストーブですし、音の大きさからも火力が強いのが伝わってきているようです。
エスビット:アルコールストーブ検証
水温9℃、500ccの水を沸騰させるまでの時間が、
約12分05秒でした。
当然の事ですが、今回の中では一番遅かったですが頑張ったと思います。
アルコールストーブの炎は周囲に広がる拡散タイプなので、周囲のほうから沸騰し始めました。
当たり前の事ですが音は全くしないので、静かにキャンプを楽しみたい方にはお勧めですね。
実際は外で調理するのでもっと時間が掛かると思いますが、何とも言われない雰囲気があり、爺は最近はアルストの出番が多いように感じます。
検証結果
火力の検証結果は以下の通りです。
検証結果についての考察
それではこの結果を踏まえて検証していきたいと思いますが、アルコールストーブに関しては「頑張った」という事で検証はしませんので、あしからず。
115フェムトストーブ(現116)考察
116フェムトストーブの結果は4分59秒で、今回検証したガスストーブの中ではカタログ上の数値も一番低く、実際に沸騰するまでの時間も一番遅かった。
一番早かったコンパクトキャンプストーブに比べて約2分、オーリック小型ガスバーナーに比べて約50秒遅い結果となった。
これは炎が直噴型のため今回使用したアルミパーソナルクッカーのLポットでは中心部にしか炎が当たらず、温められた水が対流して全体に熱が伝わるのに時間が掛かったのではないかと思います。
中心部は早くから大きな泡が出て沸騰状態にありましたので、もう少し小さなソロクッカーの深型などを使用すれば同じ条件で検証しても違う結果になるかもしれません。
キャンプを楽しむうえでこの1分2分をどう捉えるかは個人の考え方や使い方にもよりますが、クッカーの中に250gのOD缶とストーブ本体をスタッキング出来るというコンパクトさがあることも忘れてはなりません。
同じプリムスから発売されているエッセンシャルトレイルストーブという、出力などの数値が全く同じ性能のストーブがありますので、それとの比較もしてみたいですね。
オーリック小型ガスバーナー考察
オーリック小型ガスバーナーは、カタログ数値上では一番火力が大きいのですが、検証ではコンパクトキャンプストーブの次の4分10秒という結果になりました。
その差は1分20秒ほどありこれをどう見るか、ですが。
ドーム型のヘッドですが風もない室内なのでその影響は考えられませんので、他に何らかの要因があるはずですが今の段階では爺には正直わかりません。
他のクッカーでもう一度検証する必要があるかもしれません。
プリムスに2243バーナー という伝統あるバーナーがあり、オーリック小型ガスバーナーはそれに似せたんじゃないかと思うくらいそっくりです。
どちらもドーム型のヘッドで同じような形をしていますので、いつか大きなクッカーを使用して実際の火力を比べてみたいと思います。
その2243バーナーがアップデートしクラシックトレイルストーブと名を変えて発売されましたのでお知らせしておきます。
コンパクトキャンプストーブ考察
沸騰するまでの時間が一番早かったのがFORE WINDSのコンパクトキャンプストーブで2分50秒でした。
燃焼音も大きかったことからこれは早いだろうなと思いましたが、こんなに早いとは正直思いませんでしたし、こんなに差が出るとも思いませんでした。
すり鉢状のバーナーヘッドですが、フェムトストーブと比べるとヘッド部の直径も大きく、クッカーの底に当たる炎の面積も広いのが要因なのかもしれません。
いずれにしても非常に優れたコスパのストーブであることは間違いありませんし、多くのキャンパーから支持を得ているのもわかります。
これを購入して良かったと爺は思いますし、読者の皆さんにも大々的にお勧めするストーブです。
まとめ、ちょっと待った
今回の検証のまとめをしようと思いましたが、何かももやもやしてしまい・・・。
やっぱりちょっと待った。
クッカーの大きさなどの違いによって結果が変わる可能性があるので、再度検証を行ってみよう。
火力の(再)検証
という事で、再検証する事になりました。
今度はクッカーをアルミパーソナルクッカーのSポットに変え、その他の条件は全て一緒で検証しようと思います。
大きいやつと小さいやつでどのくらい時間が違うのか、また結果というか順番が違ってくる可能性も考えられますので。
それでは始めます。
再検証
115フェムトストーブ(現116)の再検証
プリムスの115フェムトストーブ(現116フェムトストーブ)の再検証結果は、約4分40秒でした。
クッカーを小さ何ものに変えたら約20秒ほど早くなったことになります。
オーリック小型ガスバーナーの再検証
キャプテンスタッグのオーリック小型ガスバーナーの再検証結果は、約3分51秒でした。
こちらも約20秒ほど沸騰するのが早かったことになります。
コンパクトキャンプストーブの再検証
FORE WINDSのコンパクトキャンプストーブの再検証結果は、約3分12秒でした。
これに関しては他のストーブと違い、約20秒ほど遅いという結果になりました。
再検証結果
クッカーを変えて再度検証した結果を表にまとめたのがこちらです。
項 目 | 115フェムトストーブ 現116フェムトストーブ | オーリック 小型ガスバーナー | コンパクト キャンプストーブ | 備 考 | ||||||||||
沸騰までの時間(1回目) | 4分59秒 | 4分10秒 | 2分50秒 | アルミパーソナルクッカー Lポット | ||||||||||
沸騰までの時間(2回目) | 4分40秒 | 3分51秒 | 3分12秒 | アルミパーソナルクッカー Sポット | ||||||||||
差 | ー19秒 | ー19秒 | +22秒 |
以上がクッカーを変えて再検証した結果でした。
再検証結果についての考察
それでは再検証の結果について考察していきます。
115フェムトストーブ(現116)再考察
再検証の結果、フェムトストーブについては1回目より約20秒ほど沸騰までの時間が早くなりました。
これは、1点に炎が集中するタイプのストーブでも、クッカーの径が小さくなった事により温度ムラが少なくなり、温められた水の対流が全体に行き渡りやすくなった結果だと思います。
それでも時間的にはほんの20秒ほどですし、驚くほど速くなったと言う訳でもありませんので、ソロから2~3人用のクッカーであれば調理時間は変わらないと思います。
一番早かったコンパクトキャンプストーブに比べて約90秒遅い結果となりましたが、火力優先かコンパクト性を優先するか、そこは個人の考え方ですね。
OD缶のガスストーブの中では燃焼時間も長く、コスパを考えるとお勧めの製品だと思います。
このフェムトストーブは大きなクッカーでの調理はあまり向いていませんし、あくまでもソロからせいぜい2~3人でキャンプする場合のストーブ、もしくは補助的なストーブとして考えたほうがいいと思います。
それと、いつか116フェムトストーブと高火力のガスバーナーの代表格であるP-153ウルトラバーナーを比較して、どのくらいの差が出るのか検証してみたいと思っています。
お小遣いが貯まってからになるので、いつになるかはわかりませんが。
オーリック小型ガスバーナー再考察
オーリック小型ガスバーナーに関しても1回目より約20秒ほど早い結果となり、コンパクトキャンプストーブに比べると約40秒ほど遅くフェムトストーブに比べて50秒早いという結果でした。
2,700kcalという出力ですのでそれなりに火力が大きな部類に入ると思うのですが、ソロもしくは2~3人用のクッカーではその性能を活かしきれないのかもしれません。
ゴトクも大きくて安定感もありますので、大きなクッカーを載せて調理する場合に向ているかもしれませんが、この辺に関しては検証していないので何ともいえないというのが正直なところです。
他のガスストーブに比べると燃焼時間も短いのでコスパという点では劣りますが、OD缶のガスストーブとしては安定感もありますし、何より音が静かなバーナーが良いという方には向いていると思います。
コンパクトキャンプストーブ再考察
コンパクトキャンプストーブは1回目より20秒ほど遅くなりました。
この要因についてはゴトクの形状から来ていると思います。
この写真を見てもらえば分かると思いますが、ゴトクがすり鉢状になっているため、小さな径のクッカーだと底がバーナーヘッドに近づき過ぎるのが要因だと爺は考えます。
あまりヘッドに近いと熱効率が悪くなりますので、専用のバーナーパッドなどを使用すれば結果は違ったかもしれませんので、また機会がありましたら検証してみたいと思います。
それでも次に早かったオーリック小型ガスバーナーより約40秒早いのですから、いかに高性能なストーブかという事がわかると思います。
こうなると、コンパクトキャンプストーブとST-310、それにマイクロキャンプストーブなどを比べて見たくなるのは言うまでもありませんが、爺の小遣いが少ないのも皆さんご存じだと思いますので、お財布に余裕が出来るまでお待ちください。
今回の検証のまとめ
今回は爺が持っている3つのガスストーブ、プラスおまけでアルストの実際の火力について検証してきましたが、いかがでしたか。
バーナーヘッドの形状や炎の形状などの要因によって、カタログ上の数値だけでは表せない実際の火力の強さがあることがわかりました。
また、クッカーの大きさやゴトクの形状によっても違いが出ることもわかりました。
今回は屋内での検証でしたが、屋外では風の影響や気温により、今回とは違った結果が出る事も考えられます。
コンパクトキャンプストーブを購入したことによりふと思いついた企画でしたが、結果は大変興味深いものでした。
それにしてもコンパクトキャンプストーブの火力の強さや使い勝手の良さはもちろん、コスパも非常に優れていますので、初心者だけでなくベテランまで満足させるストーブです。
SOTOのST-310とどちらにしようか悩んだ末に購入したストーブですが、購入して良かったと思います。
何度も言うようですが、FORE WINDSのコンパクトキャンプストーブはコスパに優れた素晴らしいギアでした。
ガスストーブを購入予定の方や、これからキャンプを始めたいと思っている方は、この記事を参考にしていただいて、自分に合ったガスストーブを探してみて下さい。
それではまた。
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