
今回は初心者のために、OD缶を使用するガスストーブの種類や上手な使い方についてご紹介していきたいと思います。
キャンプで使うガスストーブやガスバーナーといえば、以前はOD缶を使用するものがほとんどでしたし、黄色い缶や緑色の缶、そして赤い缶など、様々なOD缶を見掛けたものです。
現在はCB缶のガスストーブが増え、キャンプ場でも半数以上はCB缶のストーブと思われるくらいですが、「キャンプと言えばやっぱりOD缶のストーブだろう。」という方も少なくありません。
OD缶には、CB缶とは違うカッコよさや使い勝手の良さがありますし、何より過酷な状況下でも安定した火力を維持できるという信頼性もあり、今後も変わらず使われ続けるでしょう。
今回はそんなOD缶を使用するガスストーブについて改めて考えるとともに、OD缶に適したクッカーも紹介したいと思います。
特にこれからキャンプを始めようと考えている初心者の方は、ガトーブの燃料はガスを考えているけど、CB缶にしようかOD缶にしようかと迷っている方もいると思いますので、この記事が参考になればと思っています。
なお、ストーブと呼んだりバーナーと呼んだり様々ですが、3,000kcal/h以下の場合にストーブと呼ばれることが多く、3,000kcal/hを超えるものをバーナーと呼んでいる場合が多いみたいですが、本記事では爺の気ままな判断で呼ぶことにします。
それでは始めましょう。
OD缶一体型ストーブ
OD缶
OD缶とは
OD缶とはOutDoor缶の略で、読んで字の如くアウトドアでの使用を前提にしたガス燃料缶で、低温や強風でも安定した火力を得られるのが特徴です。

写真右がOD缶、左がCB缶です。
皆さんもどちらの缶も見た事があると思いますし、特にCB缶は一般の家庭でも鍋を囲むときに使っていると思います。

ちなみに爺の場合、オールシーズン使えるハイパワーガスのOD缶を年中使用しています。
中身はCB缶のガスですが。
これについては後で紹介します。

OD缶の特徴
先ずはOD缶(アウトドア缶)を使用するストーブのメリットやデメリットをご紹介していきます。
OD缶のメリット
●アウトドアでの使用を想定しているため低温や風などにも強く、火力が安定している。
●その形状ゆえ携行性に優れ、クッカーへスタッキング可能で、コンパクトに収納可能。
●バーナー本体が小さいものが多く、持ち運びが楽。
●OD缶のサイズが110・250・500の3種類があり、使い方により選択が可能。
●ノーマルガスとハイパワーガスなどがあり、使用する環境で使い分けが可能。
OD缶は丸い形状をしているため、クッカーへスタッキングが可能な場合が多く、クッカーもOD缶と小型バーナー本体ををスタッキング出来るよう考えられた大きさのものが多い。

プリムスOD缶

OD缶のデメリット
●アウトドアでの使用を想定し、耐寒性の高いガスを使用しているため高価である。
●OD缶の購入はアウトドアショップやネットなどに限られる。
●基本的にOD缶はガスが無くなれば交換するしかなく、高価なためコスパに劣る。

空になったOD缶は、本来であればアウトドアショップなどの回収箱へ入れるしかないですが、CB缶からOD缶へガスを詰め替える、詰め替えアダプターというのがあり、空のOD缶を再利用可能出来ます。
メーカでは当然推奨はしていませんが、実際に使用してみても詰め替え時のガスの漏れもありませんし、何の問題も無くガスを充填出来ますので、少々手間は掛かりますがこれによってOD缶のコスパの悪さを軽減できます。
また、CB缶のガスは低温に弱いと言われていますが、真冬のような寒さじゃない限りは問題なく使えますので、 OD缶のヘビーユーザーの方は非常に助かると思います。
詰め替えアダプター

OD缶ストーブの種類
OD缶を使用するストーブには一体型と分離型があり、それぞれに特徴がありますのでご紹介していきます。
OD缶一体型のストーブ

写真がOD缶を使用する一体型のストーブで、OD缶の上部にバーナー本体をセットして使うストーブになります。

一体型のメリット
●バーナー本体が小型なものが多く、携行性に優れる。
●クッカーによってはOD缶とバーナーをスタッキング(収納)できるものがある。
●ガスストーブと言えばOD缶一体型というイメージが強く、アウトドア感が高い。
●災害への備え。(詳細は後述)
高火力のバーナーヘッドでも、コンパクトに折りたためるストーブもあり、少しでも荷物を減らしたい登山家やバックパッカーには必須と言えるアイテムです。
超小型ガスストーブ

一体型のデメリット
●OD缶の上にバーナーをセットするため、クッカーを載せると重心が高くなり安定性に劣る。
●大きなクッカーを使用した場合、輻射熱によってボンベが熱くなりやすく注意が必要。
●鉄板を載せての焼肉などの調理は爆発の危険があり厳禁。
●風が強い時でもウインドスクリーンなどで周囲を覆うのもOD缶が熱くなり危険。
OD缶はクッカーを載せた場合に重心が高くなり、且つOD缶が熱くなるというデメリットがありますが、遮熱テーブルというものを使う事によって安定性も向上し、輻射熱も防ぐことが可能です。
また、調理や食事の際にはテーブルとしても使えて非常に便利ですので、OD缶ユーザーは是非検討してみることをおすすめします。
登山家やバックパッカーには少々負担になるかもしれませんが、遮熱テーブルも折りたたみ出来るものが多いので、バックパックに少しでも余裕がある場合は、十分持ち運びが可能だと思います。
関連商品

OD缶分離型のストーブ

写真がOD缶分離型のストーブになります。
OD缶とバーナー本体が分離されていて、フレキシブルなガス管で繋いで使うタイプのストーブです。

分離型のメリット
●バーナー本体を直接地面やテーブルに設置出来るため、重心が低くて安定性が高い。
●バーナーが高火力のものが多く、いろんな調理へ対応が可能。
●調理時の輻射熱がOD缶へ伝わりにくいので安全。
●風が強い時にはウインドスクリーンを使用することが出来る。
●ゴトクが大きいものがあり、大きなクッカーが使えるため人数が多くても対応できる。
OD缶と分離されているため、輻射熱によるOD缶の爆発などの危険性も少なく、鉄板を使用して焼肉なども楽しめますし、風の強い時にはウィンドスクリーンも使用出来るので、調理の幅が格段に広がります。

分離型のデメリット
●一体型に比べて部品も多くなり携行性に劣る。
●分離させている分、スペースを余計に確保する必要がある。
バーナーヘッドと分離されている分、OD缶の部分がデッドスペースになり、余計なスペースを必要としますので、狭い場所で使用する場合は注意が必要です。

OD缶ストーブの適した使い方
OD缶一体型と分離型のストーブの上手な使い方をご紹介します。
OD缶一体型ストーブに適した使い方
一体型ストーブに適した使い方としては、
●コンパクトに収納可能であり、荷物を減らしたいバックパッカーや登山に使用。
●高地や低温でも安定した火力を得たい場合。
●コンパクトなキャンプが好きなソロキャンパー。
以上のように、OD缶のストーブの特徴であるコンパクトという点を活かした使い方ということになります。
登山家やバックパッカー、バイクパッカーやトレッカーなど、コンパクトさと環境に対する火力の安定性を求める方々にとっては無くてはならないアイテムです。
CB缶ストーブのユーザーが増えてきたとは言え、OD缶一体型のストーブやバーナーは絶対に無くならないと思います。

OD缶一体型のお勧めストーブ
プリムス:P-153 ウルトラバーナー
コンパクトで軽量な本体でありながら3,600kcal/hという高火力を誇り、点火装置も付いていて使い勝手に優れ、普通のキャンプから高地や登山まで幅広く使えるバーナーです。
プリムスを代表するだけではなく、OD缶一体型のバーナーを代表する製品です。

プリムス:インテグストーブ
同社初のレギュレーターを搭載したストーブで、寒い時でも安定した火力を得ることが出来ますし、非常にコンパクトでありながらも4本ゴトクのためクッカーを載せた時に安定感も優れています。
出力が2,840kcalとなっていて、同社のウルトラバーナーP-153に比べると小さいですが、レギュレーターを搭載しているため実際の火力は数値以上のものが有ると思います。
ウルトラバーナーP-153と同様に、同社を代表するストーブと言っていいと思います。

SOTO:アミカス
SOTOのOD缶を使用するストーブでは非常に人気のあるアミカスです。
非常にコンパクトで使いやすく、ヘッド部がすり鉢状になっていて見た目以上に風に強く、小さいながら4本ゴトクで安定感があり、初心者からベテランまで満足できるストーブです。
マイクロレギュレーター非搭載モデルではありますが、真冬以外であれば何ら問題無く使えますし、何より購入しやすい価格というのが初心者にお勧めの理由でもあります。

OD缶分離型ストーブに適した使い方
分離型ストーブに適している使い方としては、
●大きなクッカーを使用して、たくさんのキャンプ飯を作る場合。
●輻射熱を心配せずに鉄板を使って焼肉などの調理を楽しむ場合。
●多人数(ファミリー)でのキャンプ。
とにかく多人数(ファミリー)でのキャンプには持って来いで、輻射熱をあまり気にせず大きなクッカーや鉄板などを使って調理し、楽しむにはもってこいです。
そして、高地や寒冷地などのハードな環境でも使用出来るため、バックパックに余裕がある場合に適しています。

OD缶分離型ストーブのお勧めストーブ
プリムス:ウルトラ・スパイダーストーブ Ⅲ
風防を兼ねた大きなゴトクを備えていて、風に強く軽量でありながら3,000kcal/hの火力を有し、高地でも安定した火力を発揮する、OD缶分離型を代表するストーブです。

スノーピーク:ヤエンストーブ ナギ
スノーピークのヤエンストーブ ナギ です。
火力は2,800kcal/hで分離型にしては若干弱めですが、初めからウィンドスクリーンが付いていて、厳しい環境下でも安定した火力を得られるのが特徴です。
ゴトクは2段階の高さに調整出来、クッカーの大きさなどによって適した高さで調理が可能です。

変わり種OD缶ストーブ
ここではOD缶を使用するストーブには属しているものの、通常のものよは一線を画している変わり種のストーブをご紹介します。
スノーピーク:ギガパワーストーブ レクタ
スノーピークのギガパワーストーブ レクタ です。
バーナーヘッドがH型をしていて広範囲に熱を伝えられるため、大きなクッカーやホットサンドメーカーなどのような、全体に熱を伝える必要がある調理器具には持って来いのストーブです。
出力は2,500kcal/hと十分な火力があり、どのような調理にも使えます。

スノーピーク:鉄板焼 エンバーナー
スノーピークの鉄板焼 エンバーナーの紹介です。
キャンプで鉄板焼きを楽しむための、世界で唯一のストーブではないでしょうか。
専用の極厚鉄板が付属していますので、OD缶さえあればいつでもどこでも鉄板焼きを楽しむことが出来ますし、鉄板を外せばφ18~φ27cmの鍋などを使っての調理も可能です。
スノーピークは次から次へと面白い製品を発売するので、いつも楽しみにしています。

災害用としてのOD缶ストーブ
以前書いた「【津波てんでんこ】想定される・・・」でも触れましたが、災害時の備えとしてのOD缶ストーブという使い方もあります。
災害時の非常持出袋やバックの中に、バーナーヘッドとOD缶をクッカーにスタッキングして入れておけば、いざという時にお湯を沸かしたり調理したりすることが可能になります。
CB缶は何処でも手に入れる事が可能なので、本来は災害用には持って来いなのですが、クッカーへの収納は出来ないため荷物が多くなり、バックを出来るだけコンパクトにするためにはOD缶のストーブのほうが優れています。
バックの中身を確認しCB缶とストーブが入るスペースがあれば、何処でも手に入るCB缶がお勧めですが、とにかくOD缶でもCB缶でもいいので、皆さんも是非とも災害用に備えておくことをお勧めします。

おわりに
今回はOD缶を使用するストーブやバーナーの種類と、それぞれに適した使い方をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
コンパクトでありながら火力が強く、強風や低温でも使えるため厳しい環境に置かれる登山家などには絶対に無くてはならないストーブです。
それに、アウトドア感を演出するためにはOD缶のストーブのほうがカッコいいと思いますし、映えると思います。
使い勝手という意味ではCB缶のほうが手軽だと言えますが、OD缶でなければ味わえない良さがありますので、ぜひ検討してみてはいかがですか。
次回はCB缶のストーブの使い方をご紹介したいと思いますので、今回の記事と合わせてどのストーブが自分に向いているのか参考になればと思います。
それではまた。

コメント