今回は、初心者がオフショアジギングを始める場合、ベイトタックルがいいのか、それともスピニングタックルが適しているのかについてです。
ジギングと言っても現在では様々な釣り方がありますが、ここでは主に爺が行っているスロージギングを中心に、いろいろ考えてみたいと思います。
結論から言いますと、「スロージギングにはベイトタックル」をお勧めします。
では、「なぜスロージギングにはベイトタックルなのか?」について考えていきましょう。
それでは始めます。
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ジギングについて
先にも述べたように、ジギングと言っても様々な釣り方がありますので、先ずはそれらについてご紹介します。
ジギングとは
スロージギングやLJ、SLJも、全てはジギングから派生した釣り方で、その基となっているのはジギング、という事になります。
オフショアでジギングと言えば、メタルジグを底まで、もしくは魚の反応がある層まで沈め、その後ワンピッチジャークや、さらに早巻きで行うハイピッチジャーク、それらを合わせたコンビネーションジャークなどで魚を釣る釣法の事を言います。
他の釣り方とは違い、ロッドアクションによって激しくジグをアクションさせる釣り方と言えば分かりやすいでしょうか。
使用するメタルジグは100g~150g以上になり、1日中激しくアクションさせるためかなりの体力が必要になります。
また、アンダーキャストでジグを船から離れた場所へ投入し、ある程度広いエリアを探ったりもします。
ですので、ハイピッチやチョイ投げして広く誘う場合などは、スピニングタックルのほうが釣りやすいので、今でもスピニングを使っている方が多いのではないでしょうか。
ターゲットは主にブリやカンパチ、ヒラマサなどの青物が主になります。
爺もオフショアフィッシングを始めた時はスピニングタックルでした。
というか、爺が始めた30年以上前は、「バーチカルジギング」と呼ばれていて、 その頃は対応しているロッドはスピニングしかなかったように記憶しています。
その頃は子供も育ち盛りでお金も掛かり、今より少ない小遣いから何とか捻出して、Shimanoの5,000円ほどのスピニングのバスロッドを買って友人と楽しんでいました。
当時は爺の住んでいる地方ではメタルジグも軽いのしか売っておらず、今のようにネットで購入なんて事も出来なかったので、近くの釣具屋を探しまくっていました。
何とか探したDaiwaのファントムというジグの40g~60gを使って、水深20m~40mほどの所でワラサやイナダ、サバなどを釣って喜んでいたのを思いだします。
それでもその場違いなタックルで90cmほどのブリを釣り上げ、「バスロッドってすげーな。」と思ったのを覚えています。
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Shimanoのオシアジガー リミテッドのスピニングモデルです。
スロージギングとは
スロージギングとは、スローピッチジャークとも呼ばれており、ゆったりとしたジャークで魚を誘い、フォールで喰わせるというイメージでしょうか。
リールの巻き方も、1回のジャークでハンドル1回転や、1/2回転~1/4回転させながら、ロッドの反発力を利用し、ゆったりと魚を誘う釣り方で、ジグを激しく動かしたりすることはほとんどありません。
スロージギングに関しては、圧倒的にベイトタックルを使用している方が多いと思いますし、実際に釣り船などを見てもベイトタックルの方がほとんどです。
これは、ロッドを早くシャクって激しくジグを動かす事も無く、さらにベイトリールのほうが重いジグを巻き上げるのが楽なためです。
いくらスローな誘いと言っても、一日中スピニングでジグを巻き上げるとなると、相当疲れます。
爺もスロージギング用のスピニングロッドを使う場合がありますが、それは青物を狙う際にキャストして広範囲を探る場合などに限ります。
スローな爺だと、連続してスピニングを使うには長くても1時間が限界かも知れません。
そういう事もあり、スロージギングに関してはベイトタックルのほうが楽だと言えます。
スロージギングの始まりは諸説あり、関西方面で始まった釣り方、という記事を見掛けることがありますが、爺が思うに呼び方の始まりはそうであっても、スローな誘いで釣る釣り方は何処でも行っていたのではないかと思います。
爺もオフショアジギングを始めた30年以上前、青物の気配が全く無い時に、着底させたジグを底付近でゆったりと動かしていたらヒラメが連続して釣れた事があり、それ以来自然に今のような誘い方をしていたからです。
その他、アイナメやソイ、ホッケやメバル、鱈なども、自然とその誘い方で釣って楽しんでいました。
ですので、スロージギングと呼ばれるようになったのはここ十数年ほどの話で、その前から各地で自然と行っていた方は多いのではないかと思っています。
確かにスロージギングと呼ばれるようになり、それが流行しだしたここ十数年で、様々なメーカーから、様々な重さや形状のメタルジグが発売され、釣具屋でも普通に買えるようになったのは嬉しい限りです。
この釣りの嬉しいところは、スローなジャークが基本となり、ジグを激しく動かす事も無いので、体力の無い動きがスローな爺でも楽しめるところです。
別名「スロー爺ギング」と言い換えてもいいのでは、と思うくらいです。
誰でも手軽に行なえて、それでいて根魚から青物まで、しかも大きな魚も狙えるという、初心者に一番お勧めなオフショアフィッシングと言えます。
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Shimanoのオシアジガーリミテッドのベイトロッドです。
グリップもカーボンで作られていて、手に伝わる感度が非常に優れたロッドです。
ライトジギング(LJ)、スーパーライトジギング(SLJ)とは
LJ、SLJとは、ロッドもリールも、そしてメタルジグも、ジギングやスロージギングに比べるとライト、または超ライトなタックルを使用して行う釣りになります。
軽めのメタルジグを使うため、当然水深も浅い場所になります。
浅いところでは20m、なんて水深でも楽しめるのがこの釣りの楽しいところです。
釣り方としては、スロージギングのライト版と考えていいと思います。
他の釣り方に比べると通常は釣れる魚は小さめになりますが、時には大きな魚が掛かる場合もあり、根に入られてラインブレイクする事もありますので、気を抜いていると痛い目にあいます。
この釣りも爺がバスロッドを使って昔から楽しんでいた釣りと言えます。
というか、これについてもLJやSLJ何ていう呼び方が無かっただけで、何処かで誰かが、ずーっと以前から楽しんでいたはずです。
今では爺が住んでいる地方でも、浅場で楽しんでいるプレジャーボートをよく見掛けますし、普段は見る事も無い遊漁船までも浅場で釣りをしていることもあり、それくらい人気が高まっているという事かもしれません。
あくまでも爺の周辺だけかもしれませんが、スロージギングに比べるとスピニングタックルを使っている方が比較的多く、その方々の多くはオフショア初心者の方が多いように思います。
これは、他の釣りに比べてタックルを揃える費用も安く済むことや、今持っているロッドやリール、そして爺のようにバスタックルでも楽しめるというのも人気の秘密かもしれません。
あくまでも爺が見た範囲の話ですが。
LJやSLJを手軽に、そして存分に楽しんで、その後より大きな魚を求めてスロージギングやジギングを楽しむ方が増えることを期待しています。
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Shimanoのオシアジガーリミテッドのライトジギングモデルです。
グリップもカーボンで作られていて、手に伝わる感度が非常に優れたロッドです。
ベイトタックルの特徴
それでは、スロージギングにお勧めのベイトタックルについて、メリットとデメリットをご紹介していきます。
メリット
それでは、ベイトタックルのメリットをご紹介していきます。
ジグの巻上が楽で疲れにくい
ベイトリールは巻き上げの力が強く、軽い力でハンドルを回すことが出来るため、疲れにくいという特徴があります。
特に重いジグを使う時などはスピニングに比べると圧倒的に疲れにくく、ベイトタックルを使う一番のメリットと言っても過言ではありません。
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Shimanoのオシアジガーです。
ジギングと言えばオシアジガーと言われる、日本を代表するジギング用ベイトリールです。
底を取りやすく、手返しが早い
ベイトリールでは、ジグを投入して底を取る際にバックラッシュしないようリールのスプールを指で軽く押さえ(サミング)ていますが、そのため着底するとスプールが止まり、その感覚もダイレクトに手に伝わります。
慣れてくると砂地なのか岩盤なのか、またはヘドロなのかもわかるようになります。
また、スピニングリールと違い、着底後にベールを返すといった動作も必要なく、ハンドルを回すことによって直ぐに巻き上げが可能になり、手返しが早いというメリットもあります。
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Daiwaのソルティガ15というベイトリールです。
SJとはスロージギングの意味で、Daiwaのフラッグシップモデルになります。
ラインがヨレにくい
スピニングリールは、ベールのローラーを介してスプールにラインを巻き取りますが、ベイトリールの場合、ラインをダイレクトにスプールに巻き取るため、ラインがヨレにくいという特性があります。
ラインがスプールから直線的に出されたり巻き取られるので、ラインにヨレは発生しないと言ったほうがわかりやすいでしょうか。
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Shimanoのオシアコンクエストです。
ラインを平行に巻くためのガイドが付いたベイトリールです。
フォール中の当りが取りやすい
ベイトリールの場合、ジグをフォール、そして着底させるまでスプールを軽く指で押さえ(サミング)ている必要があり、常にラインが軽く張っている状態にあるため、フォール中の微妙な当りもダイレクトに手に伝わり、当たりが取りやすいという特性があります。
また、サクラマスのようなジグを喰い上げるような当りも感じることが出来るため、当りを逃す機会が減り、釣果を伸ばすことが可能になります。
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Shimanoのグラップラープレミアムというベイトリールです。
比較的リーズナブルな価格でありながら、基本性能に優れたLJやSLJに適したリールです。
カウンターが付いていますので、素早く棚を取ることが可能です。
DaiwaのソルティガICというカウンター付きのベイトリールです。
LJやSLJ、そしてSJまで、様々なモデルが揃っています。ので、自分に適したリールが見つかるでしょう。
デメリット
遠投するキャスティングは無理
ラインをフリーな状態で放出できるスピニングリールと違い、ベイトリールの場合はスプールが回転しながらラインを放出するため、どうしても飛距離が伸びませんし、常にバックラッシュの危険性があります。
そのため、アンダーハンドキャストでせいぜい10m位しかジグを飛ばすことが出来ませんし、慣れないうちはそれさえ止めたほうが無難です。
バックラッシュした際には、それを解いたり、また途中から切ってリーダーを結び直したりしなければならず、時間のロスは避けられません。
最悪の場合は時合を逃してしまう事も考えられますので、不要なキャストは止めておいた方が無難です。
バックラッシュ
ベイトリールにバックラッシュは付き物ですが、限りなく0に近づけることは可能です。
バックラッシュは、ジグをキャストしたり、底を取る際に起きやすいですが、フォール中にバイトがあった場合にも起きますので、指は常にスプールに触れておくようにして下さい。
特に初心者の方は、少しの距離だと思ってもキャストは絶対に避けるべきです。
シマノのリールの中には、フォールレバーというジグのフォールスピードを調整できる機能が付いているベイトリールがあり、それを効かせることでバックラッシュを減らすことが可能ですが、どうしても価格的に高くなるので、指でスプールを押さえることを覚えたほうが間違いないと思います。
スロージギング関連製品
ShimanoのオシアジガーFカスタムです。
オシアジガーにフォールレバーを設けたジギングリールで、信頼のおける優れたリールです。
ハイピッチジャークが苦手
慣れの問題かもしれませんし、爺だけかもしれませんが、ベイトタックルの場合ハイピッチジャークがやりにくいように感じます。
というか、スピニングのほうがやりやすいと言ったほうがいいかもしれません。
ベイトタックルを使うようになって10年以上経ちますが、いまだにハイピッチはやりにくく感じます。
ハイピッチじゃないと釣れない状況ってそうありませんので、慣れるくらいの回数もこなしていない、という事かもしれません。
軽いジグが苦手
スピニングリールのようにフリーでラインが放出されるわけではないので、どうしても軽いジグだとスピニングよりフォールが遅くなってしまいます。
これについては構造上避けられないのでしょうがないですけど。
スロージギング関連製品
ShimanoのオシアコンクエストCTというベイトリールです。
オシアコンクエストにカウンターが付いたモデルになります。
2024年7月に、モデルチェンジした新しい製品が発売されるみたいです。
スピニングタックルの特徴
次はスピニングタックルの特徴を見ていきます。
メリット
遠投が可能で広範囲を探れる
スピニングタックルは、ベールを開くとラインがフリーに放出される仕組みになっているため、ジグを遠くにキャストする事が可能です。
ベイトリールと違い、バックラッシュする心配も無くキャストする事が可能です。
実際にはスピニングでもキャスト時にラインが固まって放出されるなどのトラブルが発生する場合がありますが、ベイトから比べると圧倒的にトラブルは少ないです。
ドラグ性能が高い
スピニングリールはベイトリールに比べてドラグ性能が高いと言われており、最大ドラグ力や実用ドラグ力もベイトリールに比べて高いのが特徴です。
ベイトリールにもレバードラグを搭載したドラグ力の高いリールがありますが、取り扱いには慣れが必要ですし、大物を釣り上げるためには優れていると思いますが、爺たちのようなごく普通に楽しむ釣り人には向いていないと思います。
現在のベイトリールのドラグは、以前と比べ物にならないくらい進化していますし、近海で釣りをするには何の問題も無くすよう可能です。
「スピニングじゃないとダメ」というシチュエーションは、クロマグロなどの超大物を狙う場合ではないでしょうか。
ジグのフォールスピードが速い
キャスト時と同様に、ジグをバーチカルに投入する場合もラインをフリーにしてフォールさせることが出来ますので、素早くジグを沈めることが可能です。
使用範囲が広い
スピニングタックルは、スロージギングのようなバーチカルな釣りから、キャストして広範囲を探る釣りまで、様々な使い方が可能です。
また、比較的簡単にスプールを交換することが出来ますので、ラインの太さを変えることによっていろんなシチュエーションに対応が可能です。
デメリット
疲れる
ジグの巻き上げには力が必要で、ジグの重量が重くなるに従って巻き上げの力もより必要となります。
これはリールの構造上仕方のない事ですが、一日中スピニングだけで釣りをするとなるとかなりの体力を必要としますので、覚悟が必要です。
ラインがヨレやすい
リールの構造上これも仕方のない事ですが、ベールを回転させながら糸を撚るようにしてラインをスプールに巻き取っていくため、どうしてもラインがヨレてしまいます。
それを防ぐためには馴染みの良い柔らかいラインを使用する必要がありますが、それでもヨレは発生します。
手返しが若干遅くなる
スピニングの場合、ジグを着底させた後にベールを返すという動きが必要となり、どうしても巻上までの時間のロスが出来てしまいます。
それに、ベイトの場合はサミングしながらラインを軽く張った状態でジグをフォールさせるので、着底すると直ぐに手に伝わりますが、スピニングの場合はラインがフリーの状態で放出されますので、着底がわかりにくいところがあるため、根掛かりする危険性が増します。
スピニングでも、スプールに指を当ててサミングする事は可能ですが、ベイトに比べればどうしても感度が劣ってしまいます。
フォール中の当りが取りにくい
スピニングはフリーでラインを放出しますので、ジグがフォールしている途中で当りがあっても、手に感触が伝わりにくいためどうしても反応が遅れてしまいます。
もちろんサミングしながらラインにテンションを掛けていればある程度当りの感触も伝わりますが、ベイトほどの感度は得られません。
ベイトとスピニングに適した釣り
ベイトタックルとスピニングタックルの特徴を表にしてみました。
項 目 | ベイトタックル | スピニングタックル | |||||||||
巻上が楽で疲れにくい | 〇 | × | |||||||||
底が取りやすく手返しが早い | ◎ | △ | |||||||||
ラインがヨレにくい | ◎ | × | |||||||||
フォール中の当たりが取りやすい | 〇 | △ | |||||||||
遠投のキャスティングが可能 | × | ◎ | |||||||||
バックラッシュしにくい | × | 〇 | |||||||||
スロージャークが得意 | ◎ | △ | |||||||||
ハイピッチジャークが得意 | △ | ◎ | |||||||||
重いジグが得意 | 〇 | △ | |||||||||
軽いジグも使える | △ | 〇 | |||||||||
ドラグ性能、最大ドラグ力が高い | 〇 | ◎ | |||||||||
ジグのフォールスピードが速い | △ | 〇 |
以上がそれぞれを比較した表になります。
ベイトタックルに適した釣り方
この表から、ベイトタックルの特性としては、底が取りやすくフォール中の当りも把握しやすいが、ハイピッチジャークが苦手という事になると、ジギングは得意ではないと言えます。
そして、底が取りやすいという事は根魚を釣るには有利ですし、フォール中の当りも分かりやすいという事は、スローフォールやロングフォールを多用するスロージギングに向いているという事がわかります。
スピニングタックルに適した釣り方
スピニングタックルの特性から、キャスティングして広範囲を探ったり、ハイピッチジャークで魚を誘ったりする釣りに向いているのがわかります。
また、ドラグ性能に優れており、ドラグ力も高いため、大きな青物などを狙うのに適していると言えます。
体力は必要となりますが、様々なシチュエーションに対応可能なタックルで、特にジギングには向いていると言えるでしょう。
ベイトタックルのすすめ
以上、ここまでベイトタックルとスピニングタックルについて様々考えてきましたが、冒頭で述べたように、「スロージギングにはベイトタックル」が適しているという事がわかったと思います。
もちろんスピニングタックルでも可能ですし、いろんなシチュエーションで使用可能なのも魅力ではありますが、それには強靭な体力が必要です。
それを考えると初心者や爺のような体力が無い者が、一日中スピニングタックルを使って釣りをするのは現実的ではありませんし、返って苦痛だと思います。
本来スロージギングは、ジギングと違い激しいシャクリを必要とせず、スローなジャークで魚を誘う釣りで、オフショアフィッシングの初心者でも根魚から青物まで手軽に狙えるのが魅力ですので、ベイトタックルを使用して楽しい釣りをすることをお勧めします。
おわりに
今回はベイトタックルとスピニングタックルが、それぞれどんな釣り方が適しているのか、そしてスロージギングにはどんなタックルが適しているのか考えてきました。
その結論は、「スロージギングにはベイトタックルがお勧め。」という事です。
断っておきますが、これはあくまでも爺の考え方ですので、あしからず。
釣り方は自由ですし、どのようなタックルを使うかも自由です、そして楽しみ方も自由です。
ですが、下手の横好きな爺とは言え今までの経験もありますので、全くアテにならない話をしているわけではありませんので、少しは参考にしてロッドを選択する事をお勧めします。
次回はロッドの材質、ブランクについて考えてみたいと思います。
それではまた。
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