スローなジギングタックルシリーズ、今回から2回に渡りメタルジグに関してご紹介していきたいと思います。
ジギングはメタルジグがないと始まりません。
しかし、どんなジグを用意したらいいのか、あの魚を釣るためにはどんなジグがいいのか、最初は何も分からないと思いますので、そのお悩みを解決する手助けになればと思っています。
初回は、メタルジグの素材と形状についてです。
以前投稿した「スロージギング、パート3」でもメタルジグについて様々ご紹介しましたが、今回はもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
メタルジグには様々な素材や形状、そしてカラーがあり、「どれが良く釣れるの?」とか聞かれることがありますが、結論は「絶対釣れるジグは無い、絶対釣れないジグも無い」です。
プロと言われる方々10人が、同じ船に乗り同じポイントで一緒に釣りをしたとしても、ジグの選択の仕方が全く同じという事は無いはずです。
というか、十人十色、そして様々なジグの選択をするのではないかと思います。
今までの経験などから自分なりの引き出しやセレクト方法があり、それを様々組み合わせながら攻略しているのではないでしょうか。
ですので、セオリーと言われているものにとらわれず、いろんな事を試しながら、いろんなデータを蓄積していき、自分なりの攻略法を考えていく事が大事であり、釣りをより楽しいものにしてくれると思います。
基本的にはジグの選択に正解も不正解もありませんので、この記事をあくまでも一つの参考として様々試しながら引き出しを増やしていってください。
また、記事内でご紹介している内容は、爺の主観や私見ですので、「これは違うだろう!」と思われた方は、あくまでもボケ老人の戯言だと思い勘弁してやってください。
それでは始めます。
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ジグの素材
ジグに使われている素材はいくつかありますが、今回は比較的流通量の多い鉛、鉄、タングテンについてご紹介します。
鉛
鉛はジグの素材としては最もポピュラーで、一番多く流通されている素材です。
比重は11.4で、タングステンの比重の約60%となっており、この事からもいかにタングステンが高比重かわかると思います。
鉛は非常に加工が容易で流通量も多いため、他の素材に比べると比較的安価と言えますし、初心者の方などは最初はある程度の数のジグが必要になりますので、安く買えるというのは非常に有難い事だと思います。
発売しているメーカーも数多く、それにともなって種類も豊富なため、形状やカラーなどが豊富で、選択肢が広いのも鉛の特徴です。
そういう意味でも初心者の方には一番お勧めの素材と言えます。
鉄
鉄の比重は7.8となっており、鉄の約70%、タングステンの約40%の比重であり、ここで紹介する中では一番軽い素材となります。
同じ重量のジグを他の素材と比べた場合シルエットが一番大きくなるため、沈むのが遅く、かつ潮流の影響を受けやすいという事になります。
逆に言うと、沈むのが一番遅いため、魚にゆっくりとジグを見せることが出来るとも言えます。
爺の場合、特にヒラメや根魚などの底物に有効という印象があり、デメリットがメリットにもなるという一つの良い例だと思います。
デメリットとしては、ジグが傷付いたところから錆が発生するため、釣りから帰ったら洗って錆止めや100均のマニキュアなどを塗ってメンテナンスする必要があります。
それを怠って放置していると、塗装が次から次へと剥がれて行き、最後は錆色のジグになります。
それでも釣れると思いますが。
これが縁の部分です。
かなりサビていますが、もともとカラーが黒なのでサビていてもそんなに分かりませんし、普通に釣れます。
全体にサビが浮いてきていますので、来年くらいには錆色のジグに変わると思います。
タングステン
タングステンの比重は19.3で、ここで紹介する素材の中では飛び抜けて重く、沈むのが最も早いジグという事になります。
ジグの重量を変えずにシルエットを小さく出来るため、潮流の影響も少なくて済みます。
このように書くと良い事ばかりのように感じますが、この中では価格も飛び抜けて高価ですので、爺は1個も持っていません。
タングステンのジグ1個で、鉛のジグが2~3個買える場合もありますので、爺の場合はどうしても個数のほうを選んでしまいます。
素材の比較表
3つの素材の比較表になります。
項 目 | 鉛 | 鉄 | タングステン | ||||||||
比重 | 11.4 | 7.8 | 19.3 | ||||||||
沈みが早い (潮流の影響を受けにくい) | 〇 | △ | ◎ | ||||||||
形状などの種類の多さ | ◎ | △ | △ | ||||||||
購入のしやすさ(安さ) | ◎ | △ | × |
簡単ではありますが参考にして下さい。
結局、何が良いの?
取りあえず何本か購入して釣りに行くとしたら「鉛」で問題無いと思います。
特に初心者の方は、何も無い状態からスタートし、ある程度の本数を揃えて釣り場へ持って行く必要があるため、形状やカラーなどの種類も多く、比較的安価な「鉛」のジグがお財布にも優しくてお勧めです。
爺も最初はそうでした。
少しずつ揃えて釣りに行き、根掛かりしてロスするとしばらく立ち上がれず、それを繰り返しているうちに自分に合った、というか好みの形やカラーのジグがわかり始め、それを少しずつ揃えて今に至ります。
鉄製のジグも何本かあり、それらはお気に入りのジグでもありますが、その他のジグは全て「鉛」のジグですし、今のところどのようなシチュエーションでもそれらで対応出来ていると思いますし、釣れない時は何をしても釣れないとあきらめるようにしています。
釣りはあくまでも遊びですので、「釣れない時もあるさ!」と気楽に楽しむ事が必要だと思います。
というか、爺の場合はほとんど釣れない時ばかりなので、釣れた時の喜びは格別ですし、いつも簡単に釣れるようなら爺はここまで釣りにハマっていないと思います。
ですので、初心者の方は取りあえず購入しやすい鉛のジグを揃え、釣りを楽しんで下さい。
ジグの形状
ジグの形状は、素材やカラー以上に釣果に大きな影響を与えると言っていいと思います。
形状はフォールスピードやフォールの姿勢、ジャークの際の飛びやスライド幅などにも関係してくるからです。
という事で、ここからは形状による違いや特徴についてご紹介していきます。
長さによる分類
メタルジグには、ロング、セミロング、ショートなどの長さによって分類している場合があります。
写真-1は、長さの違いによる分類を分かりやすく並べたものです。
しかし、実際には何cmだから〇〇〇ジグ、という明確な線引きはないため非常に曖昧で、メーカーによっても違いますし、釣り人によっても違ってくると思います。
特に、セミロングとショートは非常に曖昧ですので、その辺は各自で勝手に決めて構わないと思います。
ロングジグ
ロング系のジグは、青物を狙う際に使用する事が多いジグではないでしょうか。
爺の住んでいる地方では、青物だけを専門に狙う事はまず無いので、あまりというか全くと言っていいほど出番がありません。
爺は、取りあえずセミロング系やショート系のジグを底まで落とし、根魚などを狙いつつそのまま誘いを掛けながら中層でブリなどの青物を狙う、という釣り方が一般的ですので、ロングジグをセットして釣る事はまずありません。
ロングジグは全て無くなったと思っていましたが、よくよくタックルボックスを見たら、隅のほうに1本だけ残っており、それが写真-1のジグになります。
写真-1のロングジグは、
Shimanoのオシア スティンガーバタフライ スピードスラッシャーです。
爺は、これを青物を釣るためではなく、真鱈を釣るために購入しました。
真鱈の場合、他の釣り人のジグより早く底まで落ちたジグに大きな真鱈が掛かる事がよくあり、そのために購入したと記憶していますが、出番もあまり無いまま自宅のタックルボックスに入れっぱなしでした。
今年はちゃんと青物狙いに使ってみようかな。
セミロングジグ
爺の場合、シーズンを通してセミロング系のジグが一番出番が多いと思います。
細身でフォールスピードも比較的早く、潮流の影響を受けにくいため、その日の潮の動きなどを見るためのパイロットジグ的な使い方が出来るのも有り難いところです。
底物、根魚、そして青物まで、どのような使い方も出来る融通の利いたジグで、皆さんのタックルボックスにも必ず入っているジグですし、外せないジグではないでしょうか。
ジャークの際に引き抵抗が少ないジグが多く、疲れにくいのも魅力で、爺のような体力が日々落ちている釣り人には非常に有難いジグです。
写真-1のセミロングジグは、
上がシーフロアコントロールのアークです。
フォールスピードも速く潮流の影響も受けにくいので、パイロットジグとしても出番が多いジグです。
根魚から青物まで、どのような釣り方にも対応出来る万能ジグと言えます。
下がDaiwaの鏡牙ジグ セミロングです。
160gで価格が1000円を切る、お小遣いの少ない爺には非常に有難いジグです。
若干引き抵抗が大きいですが、一日中これを使うわけではないでしょうから問題無いと思います。
安い事をいいことに、爺は自分でカラーリングして使っており、大ヒラメの実績もありますので別記事でご紹介しようと思います。
ショートジグ
ショート系のジグは、特に根魚に有効なジグという印象が爺にはあります。
セミロング系に比べてフォールスピードが遅いものが多く、ゆっくりと魚にジグを見せることが出来るためではないでしょうか。
ジャーク時のスライド量はさほど大きくないものが多いですが、フォールアクションがバタバタした派手なものから大人しいものまで、またスライド量が多いものなど、ジグの形によって様々ですので、その時の状況によって使い分けることが大事になります。
と言っても、どのように使い分けたらいいかいまだに試行錯誤ですが。
ショート系も出番が多いジグですので、タックルボックスには必ず何個か入っているジグだと思います。
写真-1のショートジグは、
上がシーフロアコントロールのアビスです。
ショート系にしてはジャークもフォールも比較的穏やかな動きのように感じますが、ロッド操作によって様々な動きを演出できるのがこのジグの使い勝手の良いところです。
底物、根魚、そして青物まで、全てに対応可能な万能ジグです。
下がシャウトのストロボという今はメーカーのHPに載っていないジグです。
フォール時はバタバタと激しく動きますが、ショートジグにしてはフォールスピードも比較的早いように思います。
特に根魚には有効なジグという印象です。
断面形状による分類
メタルジグの断面の形状は、大まかにスリムタイプ、標準タイプ、スロータイプに分けられます。
その3つのタイプを、セミロングジグととショートジグそれぞれについて写真を交えてご紹介していきます。
断面はこんな感じだと思って下さい。
あくまでもイメージですが。
セミロングジグの断面形状の分類
セミロングジグの断面形状の違いによる分類は写真-2の通りになります。
スリムタイプと標準タイプの分類は多少曖昧ではありますが、その辺は明確な基準が無いため、今回は爺の判断でご説明していきます。
長さは同じようなジグですが、上から見た時の幅に違いがります。
上から130g、150g、120gとなっています。
これは厚みによる重さの違いですね。
スリムタイプ
スリムタイプのセミロングジグはフォールが早く、早い潮の流れにもある程度対応可能なジグが多いのも特徴です。
主にイワシがベイトの時に有効なジグで、ジグを底まで落とし込んでヒラメを狙い、徐々に上げながら青物を狙い、釣れなければまた落とし込む、みたいな感じで使用する事が多いです。
ロングジグと同じような断面形状ですが、短い分取り扱いやコントロールが容易なため、全ての魚種に対応可能です。
1本はタックルボックスに入れておきたいジグです。
写真-2のスリムタイプのジグは、
シーフロアコントロールのS-レジェンドです。
潮抜けが良く、早い潮流にも対応出来るので、ヒラメから青物まで狙える万能ジグとして特に秋以降に出番の多いジグです。
標準タイプ
標準タイプのセミロングジグは、癖が無い素直なアクションで非常に扱いやすく、フォールも割と早いため、いろんな場面で使えて、セミロングの中では一番出番の多いジグと言えます。
各メーカーから様々なジグが発売されており、販売されている種類も一番多いと思われ、選択肢が広いのも特徴です。
初心者の方がセミロングジグを用意する場合、様々なタイプのジグを全て揃えるのは予算的に無理があると思いますので、最初は標準タイプを購入しておけば間違いないと思います。
一番融通が利くタイプのジグだと思いますので、必ずタックルボックスには入れておきたいジグです。
写真-2の標準タイプのジグは、
ディープライナーのスパイ-Ⅴです。
非常に素直なアクションで扱いやすく、底物から青物まで何にでも対応可能で、シーズンを通して出番の多いジグの一つです。
スロータイプ
スロータイプとは、スローなフォールのジグという意味で、スロージギング用のジグと言うわけではありません。
その形状からも分かるように、水の抵抗を受けてヒラヒラとフォールするため、沈下速度は遅くなりますが、その分魚にアピールする時間は長くなります。
フォールスピードが遅いため、潮の流れが速いとジグが流されてしまい、釣りにくいし根掛かりの原因にもなりますので注意が必要です。
爺は、潮の流れが緩い時に使用する事が多く、ヒラメなどの底物や根魚に有効なジグという印象です。
写真-2のスロータイプのジグは、
HOTS(ホッツ)のY2 JIGです。
エッジが効いた幅広のジグで、ジャーク時の飛びが大きく、フォール時はスライドしながらゆっくりとフォールするため魚に長い時間アピールする事が可能なジグです。
ショートジグの断面形状の分類
ショートジグの断面形状の分類は、セミロングジグと比べると曖昧な部分がありますが、ここはあくまでも爺の私見で説明していきます。
そもそも、断面形状で分けるとした場合でも、ショートジグの場合このような分類の仕方でいいのか少々不安ですが、取りあえずこのまま説明していきます。
長さが同じようなショートジグで、重量は上から150g、170g、155gです。
断面形状の違いにより、見た目と重量が違ってきます。
スリムタイプ
ショートジグの場合、スリムタイプと言ってもセミロングジグに比べると断面は太くなります。
小さいベイトを捕食している時に使う事が多く、ショートの中では一番フォールが早いジグです。
癖が無いアクションのものが多いように感じますし、言い換えれば自分のイメージしたアクションを付けることが可能とも言えます。
非常に使いやすいジグで、シーズンを通して出番が多いジグです。
写真-3のスリムタイプのジグは、
シーフロアコントロールのアビスです。
テクニックを駆使してジギングを楽しみたい、また意のままにジグを操って釣りたい、そんな方に向けたジグです。
ショートジグの中ではシーズンを通して出番が多いジグで、底物から青物までカバーする大事なジグです。
標準タイプ
標準タイプのショートジグと言っても、こちらもセミロングジグの標準と比べれば太くなり、あくまでも断面の形状が楕円形なので標準タイプとしています。
スリムタイプに比べると一般的にフォールスピードは遅く、あまり潮が早いと釣りにならない場合があります。
フォールアクションは派手目なものが多いように感じますし、ジグ自体が勝手に、そして適度に動いてくれるので、初心者でも扱いやすいジグです。
写真-3の標準タイプのジグは、
シーフロアコントロールのクランキーです。
ジグ自体がオートマチックに動き、イレギュラーな動きも演出しますので、高度なテクニックを身につけていない初心者には持って来いのジグだと思います。
形状の割に引き抵抗が少なく、疲れにくいという点でも初心者には有難いジグだと言えます。
スロータイプ(木の葉型)
ショートジグのスロータイプと言えば、写真-3にあるようなジグを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
木の葉型とも呼ばれるこのタイプは、ひらひらと舞うようにフォールし、沈下速度もゆっくりなため魚にゆっくりとジグを見せることが出来ます。
フォールが遅いので潮流が速い場合には厳しいですが、潮が緩い時には底物や根魚には大きな実績がある事から、シーズンを通してタックルボックスから外せないジグとなっています。
写真-3のスロータイプのジグは、
ネイチャーボーイズのスローライダーです。
形状からいってもひらひらと漂うな感じなのはイメージできると思いますが、それに加えて比較的比重の軽い鉄製のジグのため、さらに舞うような感じにフォールするジグです。
底物や根魚には非常に実績があるジグで、シーズンを通して外せないジグとなっています。
今回のまとめ
今回ご紹介した内容を大まかに表にまとめてみましたので参考にして下さい。
なお、×はあくまでも釣りがしにくいという事で、全く釣れないという事ではありませんし、同じタイプでもジグによってフォールスピードが違いますので、一般的な考え方として捉えて下さるようお願いします。
ターゲット | 潮 流 | ロングジグ | セミロングジグ | ショートジグ | |||||||||||||
スリム タイプ | 標準 タイプ | スロー タイプ | スリム タイプ | 標準 タイプ | スロー タイプ | ||||||||||||
青物 | 早い潮 | ◎ | 〇 | △ | × | △ | × | × | |||||||||
青物 | 緩い潮 | ◎ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | △ | △ | |||||||||
底物~青物 | 早い潮 | △ | ◎ | 〇 | △ | △ | × | × | |||||||||
底物~青物 | 緩い潮 | △ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |||||||||
青物 | 二枚潮 | ◎ | 〇 | △ | × | △ | × | × | |||||||||
底物~青物 | 二枚潮 | △ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | × | × | |||||||||
底物 | 早い潮 | △ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | × | × | |||||||||
底物 | 緩い潮 | △ | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ |
この表は爺の経験と私見によるものであることも付け加えておきます。
おわりに
今回はメタルジグの素材と形状に関してのご紹介でしたが、いかがでしたか。
素材と形状、どちらも釣りをする上では重要な要素ですが、特にジグの形状に関しては素材やカラー以上に釣果に影響する大事な要素だと爺は思います。
最初のうちはどんなジグを買って揃えて行ったらいいのか、そしてどのジグを付けて釣りを始めればいいのかわからないと思いますので、この記事がその悩みを解決する手助けになればと願っています。
次回はメタルジグの重さとカラーについて掘り下げてみたいと思います。
それではまた。
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