
スロージギングは、時に予想もしていなかったような大物がヒットすることもありますが、そんな時に焦ってしまってはせっかくのチャンスを逃しかねません。
今回は、不意の大物がヒットした際に、冷静に対処し、確実にランディングするための具体的な方法を、ファイトの流れに沿って具体的に解説します。
特に初心者の方はパニックになってしまい、何をどうすればいいのか考えられなくなると思いますので、ランディングまでの流れを頭に入れておく事で、大物をゲットする確率は間違いなくアップするはずです。
この記事を参考に、ビールでも飲みながらイメージトレーニングしてみてはいかがですか。
それでは始めましょう!
準備と心構え
不意の大物に対応するためには、日頃からの準備と心構えが何よりも重要になります。
気持ちの準備
冒頭でも触れましたが、大物とのファイトは集中力と冷静さが求められます。
焦らず、魚の動きをよく見て、適切な判断を下せるように常日頃からイメージしておく事で、大物をゲットする確率は上がりますし、そのための心構えをしておく事が非常に大事になります。
スロージギングは、何が釣れるか分からないのも魅力ですし、誰にでも大物がヒットするチャンスはありますので、それを逃さないためにも心の準備は重要になります。

ラインやリーダーのチェック
心の準備は出来ているのに、ラインやリーダーが劣化していたり、キズが付いていたりしてラインブレイクしてしまっては何もなりませんので、釣行後には十分に確認しておく事が大事になります。
また、特にキズが確認されなくても、接続部の結束が十分じゃなかったり、何匹もの魚を掛けた事により結束部の強度が低下している可能性が有りますので、その場合は改めて新しいリーダーを結び直す事をおすすめします。

ドラグの設定
ドラグの設定は非常に重要で、緩すぎると一気にラインが出されてしまい、魚によっては根に潜られてラインブレイク、設定が強すぎると瞬間的に強い力が掛かった場合にラインブレイク、最悪はロッドが折れたりします。
通常はリールをセットし、ガイドにラインを通した状態で、PEラインの強度の1/3~1/4に設定しておくのが理想とされています。
以下は、ライトジギングやスロージギングで多用されるPEラインと、ドラグ設定値の目安になります。
| PEライン号数 | ポンド(lb) | 強度(kg) | 1/3(kg) | 1/4(kg) | |||||
| 1.0号 | 20 | 9.07 | 3.02 | 2.27 | |||||
| 1.2号 | 24 | 10.89 | 3.63 | 2.72 | |||||
| 1.5号 | 30 | 13.61 | 4.54 | 3.40 | |||||
| 2.0号 | 40 | 18.14 | 6.05 | 4.54 | |||||
| 2.5号 | 50 | 22.68 | 7.56 | 5.67 |
しかし、これを正確に測定するためにはドラグチェッカーやバネばかりなどの道具が必要になりますが、おすすめは魚の重量を測定するデジタルスケールがおすすめです。
魚の重量の測定とドラグの測定が出来るので、非常に便利です。
ちなみに、仮に5kgまで測定可能なバネばかりで3千円程度、ドラグチェッカーだと8千円程度、デジタルスケールで4千円程度になりますので、自分の予算に合ったものを検討してみて下さい。
また、一度測定し、その際のロッドの曲がり具合を覚えておくのもいいと思いますし、ラインを引っ張って、その強さを感覚で覚えておくのもおすすめです。
随分テキトーだな!と思うかもしれませんが、これが結構正確で、それほど大きな違いが出ないんです。
絶対に表と同じ強さに設定しなくてはダメ!と言うわけではありませんし、ある程度の強さに設定してあれば、大物が掛かった際に微調整は可能ですので、それほど神経質になる必要はありませんので、ご安心を。
参考までに、チューブラーロッドの場合、ロッドの破損などのトラブルを避けるため、ロッドでファイトするのではなく、ロッドにあまり負荷を掛けずにリール中心でファイトする事になります。
ロッドをあまり曲げずにファイトしますので、ガイドの抵抗などが少ないため、ドラグ設定は1/3に近い数値のほうが大物とのやりとりには良いのではないかと思います。
逆に、フルソリッドロッドは、ロッドを満月のように曲げてのファイトが可能なため、ガイドの抵抗も相当増えますので、ドラグは1/4の設定のほうがトラブル回避の意味でもおすすめです。
ファイト開始直後
それでは、実際に大物が掛かった直後からの対処の仕方についてご紹介して行きます。
慌てない
大物が掛かった場合、明らかに今までの魚と違う事が分かるはずです。
ラインが引き出され、ドラグがジーっと鳴りっぱなしになったり、ビクとも魚が動かなかったりして、今までにない重量感を感じたりしますが、そんな時こそ絶対慌てずに、冷静になる事が必要です。
そのためにも、常日頃から大物とのファイトをイメージする事が重要になります。

ドラグの調整
ドラグが鳴りっぱなしの場合は、ほんの少しずつドラグを締めて行き、ラインの放出をコントロールします。
急な締め込みは、ラインブレイクやロッドの破損につながりますので絶対にしてはいけませんし、ある程度締めたら次はスプールを指で押さえてコントロールしながらドラグ調整を行うのもおすすめです。
なお、根に潜ろうとする魚の場合、ラインがどんどん引き出されると根に潜られてラインブレイクする可能性が大きいので、時には強引なファイトも必要になりますが、それにはある程度の経験が必要になります。
経験が浅い場合、無理やりロッドを使ってポンピングなどしてしまい、ロッドを破損したりする危険性が有りますので、先ずはリールのドラグ性能を頼りにして、絶対無理をしないようにして下さい。

周囲に告知
明らかに大物が掛かったことが分かった場合、船長や周囲の釣り人へその旨を周知する必要があります。
魚が縦横無尽に走り出すと、周囲の釣り人のラインと絡まるだけでなく、最悪は全ての釣り人のラインと絡まってしまい、ランディングどころではなくなってしまう危険性もありますし、船上の雰囲気も悪くなってしまいます。
ですので、とにかく大物が掛かったら船長に伝えるか、船長から離れている場合は隣や近くの釣り人に声を掛け、皆さんから協力を得てファイトする必要があります。
初心者のうちは、大物が掛かっても直ぐには判断が付かない場合もあると思いますが、明らかに通常とは違うと思ったら、先ずは皆さんに周知する事をおすすめします。
そうする事で、船長や周りのベテランの釣り師の方達がアドバイスをくれますし、ランディングを手伝ってくれますので、常日頃からお声掛けしたり、コミュニケーションを取っておく事が非常に大事になります。
ロッドは立て過ぎない
大物が掛かった場合、慌ててロッドを立ててファイトしようとしている方を見掛ける事がありますが、スロージギングの場合、先にも述べた通り大物が掛かった場合は、基本的にリールでやり取りします。
スロージギングロッドの場合、基本的にはロッドの角度は斜め下45度程度にしてファイトし、それよりロッドを立ててのファイトは、ロッドの破損などのトラブルの原因になりますので、絶対にしないで下さい。
ロッドをぶち曲げてファイト出来るフルソリッドの場合でも、絶対にロッドの力だけで釣り上げる事は無理ですし、無理し過ぎると破損のトラブルなどが起きますので、基本的にはリールの力も加えて魚を引き寄せます。
ロッドを満月のようにしならせて、ロッドを立てて、ポンピングしながら魚とファイトしている動画などを見る事がありますが、スロージギングロッドの場合、絶対に無理は禁物ですので、頭に入れておいて下さい。

ファイト中盤
ファイト中盤になると、釣り人が有利となるようにリズムを掴み、主導権を握るようにするのが理想ですが、この時点でも絶対に無理は禁物です。
巻ける時に巻く
大物は、何度もラインを引き出したりして抵抗するはずですが、その場合でも絶対に焦らず、走られたら無理して止めようとせず、しかしテンションを掛けた状態で走らせます。
そして魚が止まったら速やかにラインを巻き取り、徐々に間合いを詰めていきます。
これを何度も繰り返すことにより徐々に魚の動きが鈍ってきますので、焦らずにじっくりと対峙する事が必要です。
一気に間合いを詰めようとしてドラグを締めて強引にリールを巻いた場合、ランディング直前になって暴れ出し、ロッドを破損したりするトラブルが起きますので、粘り強いやり取りが必要になります。
ラインの角度とテンション
魚が急に方向を変えたり、船の下に潜ったりすることがありますが、その場合にラインが船底や触れたりしてラインブレイクする危険性が有ります。
そのような場合は、ロッド操作で常にラインの角度を意識し、テンションを抜かずにコントロールし、 魚の頭をこちらに向けさせるようにロッド操作を行います。
魚のパワーを上手にいなしながら、頭をこちらに向かせるようにコントロールすることで、魚に主導権を渡すことなくファイト出来ます。

ランディング
ランディングネットやギャフは早めに準備
ファイトの後半に差し掛かったら、早めにランディングネットやギャフの準備をしておきましょう。
通常遊漁船の場合は、船長や周囲のベテランの方が準備、そしてランディングしてくれますが、船長が別の用事で手がふさがっていたり、周りの釣り人が自分と同じ初心者の方々ばかりの時は、自分からお願いしてみましょう。
そうすることによってコミュニケーションが生まれ、お互いに釣りがしやすくなりますし、ランディングに手間取ると、バラシのリスクが高まりますので、準備は早いに越したことはありません。
最後の巻上は要注意
魚が浮き、いよいよランディングと思った瞬間、急に魚が暴れ出して船底の方に走り出し、ラインやリーダーが船底に触れてラインブレイク、最悪はロッドが船縁に当たってロッドが破損なんて危険もあります。
魚が浮いたからといってすぐにランディングするのではなく、船の脇で一旦様子を見て、それから取り込む事をおすすめします。
また、よくあるトラブルが、ジグのフックがランディングネットの縁などに引っ掛かってしまい、ランディングできなくなる場合があるため、フックが何処の刺さっているのかしっかりと確認する必要があります。

ランディング
ランディングは、魚を浮かせた後に何度か船の脇で円を描くように誘導し、再び暴れる事が無いと確認した後に、頭の方からタモ入れします。
タモに入ったら、リールのクラッチを切り、ラインをある程度出しておき、船上で魚が暴れてもロッドに負荷が掛からないようにする事で、ロッドの破損を防ぎます。
また、30kg以下のマグロのように、リリースが義務付けられている魚や、キープしても食べない場合は、ギャフを口の周りに刺すなどして、取り込みによって魚が死んでしまう事が無いように注意して行う必要があります。

大物が釣れた時の対処法のまとめ
今回のスロージギングのすゝめは、大物が釣れた時の対処の仕方についてのご紹介でしたが、いかがでしたか?
大物との出会いは、スロージギングの醍醐味のひとつでもありますし、想定外のサイズが掛かっても、落ち着いて対処すればキャッチ出来る可能性は十分にあります。
今回ご紹介した対処法を参考に、不意の大物がヒットした際も慌てず、着実にキャッチできるよう準備を整えて、スロージギングを存分に楽しんで下さい。




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